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【名盤伝説】”Stuff / More Stuff”

MASTER PIECE NYの凄腕ミュージシャン集団スタッフのセカンド・アルバム『モア・スタッフ』(1977)です。

1976年にアルバム『スタッフ』でデビュー。メンバー全員がミュージシャンズ・ミュージシャンということで大変な話題となりました。時代はクロスオーバーからフュージョンと、ジャズ・センスを持ちながらもロック、ポップス、ラテン、ソウル・ミュージックなど様々なジャンルの美味しいところ取りのインスト・サウンドがブームになっていました。そんな流れの中でも、このスタッフはメンバー構成の凄さと作品の渋さが人気の要因だったかなと思います。

ファンの大騒ぎを他所に、アルバム・セールスはぼちぼちだったようです。


そんな彼らが1977年にリリースしたセカンド・アルバムがこの作品。メンバーはファーストと変わらずリーダーのゴードン・エドワーズ(Bs)、コーネル・デュプリー(G)、エリック・ゲイル(G)、リチャード・ティー(Key)、スティーヴ・ガッド(Drs)、クリストファー・パーカー(Drs)。いずれのパートもスタジオなどのセッションではファースト・コールの実力派揃いです。

制作クレジットで目を引くのは、プロデューサーに迎えられたヴァン・マッコイです。ソウル系のコンポーザーとして超有名!。日本では「ハッスル」のヒットが知られているため、ソウルというよりディスコ?ってイメージですが、曲調がポップなだけでバリバリのソウル・エンタティナーで、コンポーザーとして、そしてアレンジャーとしてのバランス感覚は秀逸です。このアルバムが前作よりも煌びやかな印象なのは、そんな彼の施しが影響しているのかもしれません

収録曲
M1 This One's For You
M2 And Here You Are
M3 Subway
M4 Love Of Mine
M5 Honey Coral Rock
M6 Sometimes Bubba Gets Down
M7 As (永遠の誓い)
M8 Need Somebody

アルバムトップのリチャード・ティー作のM1。ドラム・カウントから始まるサウンドはファーストで聴くことできたこれぞスタッフと言えるナンバー。このグルーヴは唯一無二のものかと思います。


ゴードンとティーの共作のM2。ティー独特のローズ・ピアノの響きが美しいバラードです。じっくり聞いていると涙がでてきそうな秀作です。


当時ブームとなっていたインスト・アルバムに歌物入れるM4。スタッフも右にならえでフューチャーしたのは、何とバンド・メンバー自身が歌うという飛び道具!ゴードンの超渋いボーカルには拍手喝采でした。


ステイーヴィー・ワンダーの名曲カバーM7。選曲がずるいです。しかもツイン・パートを右に左にと聴き分けていると、その掛け合いの妙は意識を失いそうになるほど格好良いです。もうお腹いっぱいでノー・モア・スタッフってところです。


ラストのブルース・ナンバーM8。囁くようなリチャードの歌によるスロー・ナンバーです。

オリジナル・メンバーによるアルバムはこれが最後、というか、超売れっ子のスタジオ・ミュージシャンがこれだけ揃っていること自体が奇跡なのに、ライブもやろうって無理筋過ぎて長続きするはずもありません。そんな悲哀に満ちたラスト・ソングです。


翌1978年には奇跡の来日公演が実現してライブ盤『Live Stuff』としてリリースされます。またUS国内での公演の模様も『In New York』として発売されます・・・こうしたライブ・アルバムが続くということは、要はスタジオ録音のためのスケジュール調整が出来なくなっている証拠ですね。

その後は危惧されたように、メンバー多忙でバンド活動は自然消滅してしまいます。とはいえスタジオ・ミュージシャンが自分たちの演奏したい音楽をする場をもつのは大事だと思います。そして、そうした演奏をファンも聞きたいものです

プロ・ミュージシャンによる音楽遊びとしてのスタッフのアルバムは、そうした観点から聞き直すと、実に興味深いものがあります。


1970〜80年代を中心に洋物FUSION系の記事をこちらでまとめています。宜しければどうぞお立ち寄りください。




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