【名盤伝説】”Parachute / Sylvia ”
お気に入りのミュージシャンとその作品について紹介しています。日本のフュージョンバンドパラシュートの4thアルバム『シルヴィア』(1982)です。
強者スタジオ・ミュージシャン軍団のパラシュート。松原正樹(G)、今剛(G)、林立夫(Drs)、井上鑑(Key)、斉藤ノブ(Perc)、安藤芳彦(key)、マイク・ダン(Bs)とファースト・コールのミュージシャン揃いです。
バンドは1980年4月アルバム『PARACHUTE from ASIAN PORT』でデビューします。時代のギター・フュージョン・ブームにやや後追いで登場した彼らでしたが、メンバーのキャリアはここでは語り尽くせません。気付けば彼らの演奏は、必ず、絶対に聞いていると断言しちゃいます。そんな彼らがバック・アップでは叶わない、自分達が好きな感覚で表現するアルバムを作りたい、そうした想いに至るのは想像に難くありません。
そんな彼らは順調にアルバムをリリースして行きます。
そして1982年に初の海外録音盤としてリリースされたのが、このアルバムです。
USのソングライタージェシー・バリッシュが全面参加して楽曲を提供・共作しています。ジェシーはジェファーソン・スターシップの「Count on Me」という曲を書いたことで最も有名だとか。AORファンの方ならマーディ・バリンの代表曲「ハーツ」の作者と言った方が伝わるかもしれません。そんな素性からパラシュートのこのアルバムをAORアルバムと評する方も多いようです。が、いかに作者や曲調が近いとはいえ、個人的には違うと思います。「パラシュートがAOR ????」やめてくださいって感じです。
確かに全てボーカル曲ですが、そのオケは間違いなくパラシュート・サウンド。彼らのミュージシャン・シップに溢れた極上テクニックの音に触れる作品だと、私は思います。
軽快なポップ・チューンM1。コンサートでは思わず手拍子したくなるようなテンポの良いナンバーです。
ダン入魂のラブ・バラードのタイトル曲M2。歌心に溢れる林のドラミングは最高です。ギター・ソロはお二人のどちらでしょうか、エフェクト処理は最低限にほとんど生音のようなギターソロはもシンプルでストレートで、純愛曲に相応しく心に響きます。
こちらもスロー・バラードM8。ダンとジェシーの共作です。ロマンチストなダンの真骨頂と言えます。
アルバムラストはハードでブルージィーなナンバーM9。(多分)松原の独特な歪みたっぷりのリフが楽しめます。
このアルバムをリリースした後のホール・ツアーが終わるとパラシュートとしての活動は休止してしまいます。本人たちは解散はしていないとは言うものの・・・
その後は2003年に読売ランド・イーストで行われた伝説のCROSSOVER JAPAN ’03 で一夜限りの復活ライブを行います。夕闇迫る野外ライヴ、私も楽しませていただきました。
そして2012年の東京国際フォーラムでのCROSSOVER NIGHTにも出演し、パラシュート結成35周年に向けて東京ビルボードライブなど各地でのライブ活動が行われていきます。各地の公演は満員御礼、私もチケット争奪戦に敗れて参加はできませんでした(大泣)。
2016年の松原氏の逝去に伴い、パラシュートは完全終了となります。時代を彩った不滅のサウンドを大切に聴き続けたいです。