【名盤伝説】”Chaka Khan / I Feel for You”
MASTER PIECE US出身の女性R&Bシンガーチャカ・カーンの1984年リリースのソロ・アルバム『フィール・フォ・ユー』です。
チャカは73年にファンク・バンドルーファスのリード・シンガーとしてデビューして人気を集めます。ソロ・シンガーとして78年にはソロ・アルバムをリリースし、81年のアルバム『恋のハプニング』は大ヒットとなります。
1982年にはライヴ盤『サヴォイでストンプ!』をリリースしてルーファスとの活動に区切りをつけます。
そして84年にソロ名義でリリースしたのがこのアルバムです。
USチャートでは最高位4位を記録して、RIAAによるプラチナ・ディスク認定されます。
まずはB1の曲からご紹介、先行シングルとしてリリースされグラミー賞で最優秀女性R&Bボーカル・パフォーマンス賞を受賞します。オリジナルはプリンスの79年リリースのアルバムに収録されています。彼女の名前を連呼するラップが印象的。本人はあまり好んでは無かったようですが、以降のステージのオープニングSEとして多用されていきます。ドラムはルーファスのジョン・ロビンソン。随所で聴けるハーモニカはステイーヴィー・ワンダーです。時代を代表する抜群のファンク・ナンバーです。
続くミドル・テンポのファンク・ナンバーB2。これぞチャカという雰囲気の曲です。ギターにはスティーヴ・ルカサー、そしてキーボードもスティーヴ・ポーカロとTOTO隊が参加しています。
そして実はこのアルバムの中で私が最も好きな曲A2。ブルース・ロバーツ、バート・バカラック、そしてキャロル・ベイヤー・セイガーの共作による不朽の名バラードのチャカ版カヴァーです。ジョン・ロビンソンとネイザン・イーストによる強力ボトムにシンセの魔術師ロビー・ブチャナンによる幻想的なハーモニーが響く名アレンジだと思っています。チャカのどこか暴力的な歌いっぷりが曲調とのミス・マッチで、そこが何とも言えず良い感じです。
CBセイガーのバージョンは『真夜中に口づけ』(1981)に収録されています。またディオンヌ・ワーウィックのヒットアルバム『フレンズ』85年のバージョンも素敵です。ジャズシンガーのTrainchaの2008年リリース『Who'll Speak For Love (Burt Bacharach Songbook II)』でも取り上げられています。時代を越えるラヴ・バラードです。
そしてチャカの代表的なバラードとして評判の高いB3。作曲はキーン・ブラザースのトム・キーンでした。ギターはマイケル・ランドウ。結婚式の定番BGMですね。ファンクの女王はバラードの女王でもありました。
チャカはR&B、ポップ、ロック、ゴスペル、カントリー、ワールドミュージック、クラシックなど、7つの音楽ジャンルを歌えるシンガーとして、マイルス・ディヴィスやアレサ・フランクリンなどからも賞賛されているとのこと。永遠のソウル・シンガーとして聴き続けていたいですね。
前作収録の曲ですが、彼女の魅力たっぷりの2002年のライブ・パフォーマンスの動画を貼っておきます。ほんと素敵です。
1970〜80年代を中心にR&B / ソウル系、ダンサブルなアダルト・コンテンポラリー系のミュージシャンやアルバムを紹介しています。
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