見出し画像

【名盤伝説】”Spyro Gyra / Free Time” カリプソ由来の爽やかな風に吹かれたい。

MASTER PIECE USニューヨークで結成されたジャズ・フュージョン・バンドのスパイロ・ジャイラ5作目のアルバム『フリー・タイム』(1982)です。

バンドは1971年にジェイ・ベッケンスタイン(Sax)が地元の音楽仲間らと結成し、1979年にトム・シューマン(key)、デイヴ・サミュエルズ(Vib)などと共に『スパイロ・ジャイラ』でデビューします。初回プレスがたったの500枚と全く期待されていませんでしたが、その後に反響を呼んで20万枚を超す大ヒットとなりました。1980年にリリースされたセカンド・アルバム『モーニング・ダンス』では、タイトル曲が人気となり70万枚のセールスを記録するなど、USを代表するフュージョン・バンドの仲間入りを果たしました。

同じ頃の日本でも渡辺貞夫の「カリフォルニア・シャワー」が大人気となり、ブラジリアン・テイストのフュージョン・サウンドの系統として、このスパイロ・ジャイラも人気になりました。こうしたカリプソ感も悪くはないのですが、元来ロック指向だった私の耳には、正直物足りませんでした。

1982年にリリースされたこのアルバムも、個人的には実はあまり期待はしていませんでした。が、新譜がよく掛かる新宿のカフェバーで聴こえてきた音は、爽やかだけどどこか鬱な香りがする独特なサウンドでした。当時の輸入盤価格なら、多少の冒険も出来るくらいのバイト代は稼いでいたので、チャレンジ購入して聴くと大正解。このテイストなら十分に満足できます。

収録曲
M1 Freetime
M2 Telluride
M3 Summer Strut
M4 Elegy For Trane
M5 Pacific Sunrise
M6 Amber Dream
M7 String Soup

ゲスト参加のウィル・リーのファンキーなベースのリフから始まるM1。ゆったりとしたテンポでありながらリズム隊の細かなキメが随所に光り、優しいメロディのジェイのサックスとデイヴのビブラフォンのソロが心地よいM2。キレの良いギター・カッティングとホーン隊のアンサンブルが最高に格好良いM3。A面のこの3曲をひたすらリピートしていましたね。

ホーン隊の妙を聴かせてくれるシー・ウィンドとはまた違った意味でファンキーなサウンドも、このバンドの特徴だと感じます。

1982年のリリースの『Incognito』、1983年の『City Kids』あたりまでは良く聴いていました。時代はフュージョン全盛期、残念ながら彼らのライブは見たことはありませんでしたが、好きなバンドでした。

湿気が増すこの季節、こうした爽やかな風を感じさせてくれるフュージョン・サウンドは必需品ですね。


フュージョン系の記事をこちらでまとめていますので、宜しければどうぞお立ち寄りください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?