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【名盤伝説】”Led Zeppelin / II ”
お気に入りのミュージシャンとその作品をご紹介します。UKロックの歴史的なバンドレッド・ツェッペリンのデビューした1969年にリリースされた2枚目のアルバム『レッド・ツェッペリン II 』です。
絶命寸前のヤードバーズから生まれたZEPでしたが、USでのヒットをきっかけに本国UKでもようやく評価が高まります。
そんな勢いの中で、レコード会社の意向で年内にもう一枚アルバムを制作することになったものの、ツアーのスケジュールに追われる中で、スタジオで時間をかけたリハーサルもままなりません。
そこでバンドはツアー中に新曲を書き、なんと大胆にも本番のステージでセッションやリハーサルをして、そして現地でのレコーディングという強行手段に出ます。しかしそこはレーベルからの強制ではなく、あくまでバンド主体で進めていくという、長年スタジオ・セッションで培ったペイジのミュージシャンの悲哀を繰り返さないという知見が活かされたようです。
ようやくツアーを終えてロンドン戻ったものの、さらに様々なライブ・スケジュールが組まれている中で、突貫でアルバムの仕上げも進められていきます。そして69年10月にアルバムは無事にリリースされます。
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ファーストに続いてこのアルバムもプロデューサー名義はペイジとなっています。実質的に制作に携わっていたピーター・グラント氏でしたが、クレジットはあくまでEX-プロデュース、ここにはペイジの強い拘りがあって、バンド・メンバー以外のクレジットには過敏なほど慎重になっていた証なのです。作品は一義的には絶対ミュージシャンのものだとの思想が伺えます。音楽ビジネスの闇を目の当たりにしてきたペイジの知見ということでしょうか。
新作アルバムへの期待は高く、USでは予約だけで50万枚となり、本国でも前評判は加熱していきます。そしてリリースとともにチャートにUSチャートで7週連続で1位を獲得します。前週までのトップがビートルズの超名盤の『アビー・ロード』(1969年9月リリース)で、ZEPがあのビートルズを超えた歴史的な瞬間でした。
収録曲
A1 Whole Lotta Love
A2 What Is And What Should Never Be
A3 The Lemon Song
A4 Thank You
B1 Heartbreaker
B2 Livin' Lovin' Maid (She's A Woman)
B3 Ramble On
B4 Moby Dick
B5 Bring It On Home
アルバムトップを飾るZEPの代表曲とも言えるA1、この曲とA2はアルバム制作のための最初のセッションで演奏されていたといいます。中間部のサイケな展開はまさにZEPの真骨頂。当時リアルタイムで聴いていた私には辛くて長い修行のような数分間でしたね(汗)。今きくと聞きどころ満載であっと言う間です。
ブルース進行の曲なので、何かの曲に似ているなど言われだしらきりがありませんが、歌詞の一部が転用されたと後に訴訟に発展し、ZEPが敗訴して印税の一部を支払うことになったようです。いろいろありますね。
こちらも基本はブルース進行のA2。しかしその世界観は完全にZEPワールドです。確かなテクニックに裏付けられたジョーンズのベースが素晴らしいです。この時期から使用し始めたというペイジのレスポールによる甘美なギターの音色が美しいです。激しい展開との対比はZEPならではですね。
そしてこのA3も他のブルース曲の盗用だと話題になりました。当時はクレジットされていたことから示談が成立したようです。
ペイジの奔放なソロが楽しめるB1。ライブでは途中様々な曲のモチーフを織り交ぜながらファンを楽しませてくれます。この荒々しさが後のHR / HMなバンドに与えた影響は絶大です。
ボンゾのドラムを堪能できるB4。ツアーをしながらのバンドにとってライヴ・アレンジでのリハーサルが追いつかず、プロモーションを兼ねたライヴでは、なんとかこの曲だけは披露できたそうです。
どこか長閑なブルース・カントリー調のB5。こちらも完璧な元ネタがありました。これも訴訟の対象となりました。
元ネタはこちら。ブルース・シンガー&ハーモニカ・プレイヤーのサニー・ボーイ・ウィリアムソン II のアルバム『The Real Folk Blues』(1966)に収録されています。実はこのバージョンもカヴァーですが、本当のオリジナルは実はどこが同じ曲なのか、私には全く分かりませんでした^^;;。
こうして振り返ってみると、突貫で新曲を作る中で、自分たちの持つ音楽遍歴の引き出しからあれこれ寄せ集めていたのだなということが分かります。ただ、何処かに何気にクレジットしておけばそれで済んだのになと・・・。ただし、いずれも完璧なZEPワールドにアレンジしているのですから、納得するファンは多いと思います。あれこれと言われるほどこのアルバムが世界中から注目されたということの証なのでしょう。
ZEPの躍進はまだまだ続きます。
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