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【名盤伝説】”The Manhattan Transfer / Bodies And Souls”

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。マンハッタン・トランスファーの7作目のスタジオ録音アルバム『アメリカン・ポップ(邦題)』(1983)です。

エクステンションズ』(1979)、『モダン・パラダイス』(1981)と2作続けて名匠ジェイ・グレイドンのプロデュース作が続き、彼らは一躍人気モダン・コーラス・グループへと飛躍を遂げました。

エクステンションズ記事URL


続く作品でプロデューサーに起用されたのはリチャード・ルドルフで、ラムゼイ・ルイスミリー・リパートンなどで独自の空気感を感じさせる作品群を制作してきたベテランでした。そんな彼とファンク系の作品が多いロッド・テンパートンやキレキレ・アレンジが得意なシーウィンド・ホーンズなどとのコラボをマントラ・ワールドの下で展開するという、かなり実験的で意欲的なアルバムになったのかなと思います。

独特なアート・ワークはマントラのティム・ハウザーの妹の女優でデザイナーのフェイアット・ハウザーの作品。その後のマントラのアルバム・ジャケットも手掛けていきます。

収録曲
A1 Spice Of Life
A2 This Independence
A3 Mystery
A4 American Pop
A5 Soldier Of Fortune
B1 Code Of Ethics
B2 Malaise En Malaisie
B3 Down South Camp Meetin'
B4 Why Not ! (Manhattan Carnival)
B5 Goodbye Love
B6 The Night That Monk Returned To Heaven

アルバム・トップのポップなナンバーA1。ロッド・テンパートン作でニール・スチューベンハウス(Bs)とジョン・ロビンソン(Drs)によるファンクなリズムがボトムを支えます。煌びやかなホーン・アレンジはジェリー・ヘイ。中間部のハーモニカはスティーヴィー・ワンダーと超豪華な布陣。ノリノリで格好良いです♩。


ミステリアスなイントロからのミディアム・テンポのソウル・ナンバーA2。ドラムはジェフ・ポーカロで、曲はマーク・ジョーダン作でした。こうした単調なリズムのままでドラマチックに展開する曲って、何回か聴いているとクセになります。


こちらもミステリアスなコーラス・ワークから一転ポップな曲調になるA4。サビは陽気な、まさにアメリカンなポップ・ナンバーです。この曲もマーク・ジョーダン作でした。


宇宙的なイントロのA5。まるで戦隊モノの戦闘シーンにでも使われそうなA5。私の頭の中では「幻魔大戦」のイメージです(苦笑)。どうしたことでしょう、この曲もマークの作品でした。


続くB1も宇宙的なイントロ。正直オーバー・プロデュースですね。とはいえ彼らのセンス抜群のコーラス・ワークはこうしたドラマチックな曲にもよく似合います。


ようやくジャズ・コーラスな曲が出てきましたB4。生ピアノとホーン隊のアンサンブルにマントラのコーラス、小曲ですがご機嫌なのジャズ・ナンバーです。


既に様式美のようなアルバム・ラストのアカペラ曲B6。アルバム・タイトルはジャズ・スタンダードの「Body and Soul」のオマージュです。様々なミュージシャンがカヴァーする中でピアニストのセロニアス・モンク(1982年没)の演奏は力強く、どことなく辿々しい演奏が返って惹き込まれます。そんな彼への鎮魂歌です。

モンク演奏の「ボディ・アンド・ソウル」はこちらです。沁みますよ。


アルバムはグラミーを受賞するなど評価されたものの前2作と比べるとパッとせず、人気にも翳りが見えてきます。とはいえもともと実力派のメンバーだけに、落ち着いて活動できるようになった余裕を楽しんでいるようで・・・大人なグループですからね。


そういえば、前職の同じ部署の先輩の奥様がマントラ御用達の通訳さんだったということを思い出しました。来日時にはどんな様子だったのか、チャンスがあったら聞いてみましょうか。




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