【名盤伝説】“Narada Michael Walden / The Dance of Life” ジャズ・ファンク界の名ドラマー&プロデューサーによる都会派ダンス・ミュージック。
MASTER PIECE ナラダ・マイケル・ヴォルデンは1952年USミシガン州出身のドラマー&プロデューサーです。10代の頃からセッションマンとして活動し、超絶テクを誇るジャズ・フュージョン・ユニットのマハヴィシュヌ・オーケストラにビリー・コブハムの後釜ドラマーとして参加するなど、その技量は折り紙つきでした。後にリッチー・ブラックモア脱退後のディープ・パーブルに参加する悲劇のギタリスト、トミー・ボーリンのバンドでもプレーしています。
1975年からソロ名義でも活動を始め、この「ダンス・オブ・ライフ (邦題: スゥイート・ダンス・ミュージック)」は1979年リリースのソロ4作目のアルバムです。
参加ミュージシャンはナラダと気心の知れた仲間で固められているようです。ベースのTMステイーヴンスはジャズ・ファンク系のプレイヤーとして知られていて、日本のフュージョン系ギタリスト増尾好秋との交流が有名ですね。さらにギターのコラドー・ラストゥシー(読み方怪しいです^^;;)はイタリア系プログレ・バンドのノヴァのメンバーで、このバンドがUKで活動していた時にナラダも絡んでいたという流れ。このノヴァにはフィル・コリンズも関係があったとか・・・色々と調べていくと、意外な繋がりが見えてきて面白いです。
このアルバムがリリースされた時は、こんな事情など全く知らずに、ただお洒落でダンサブルな独特のナラダ節に酔うだけでした。いつ聞いても格好良いなぁと。
オープニングのM1。タイトなリズムと特徴のあるナラダのボーカルで思わず身体が動き出します。幾多のダンスフロアで熱狂した若いお兄さんやお姉さん達の心も揺さぶったことでしょう。このアレンジは同じくダンサブルな名バンドCHICを彷彿とさせます。CHICよりもワイルドですけどね。私はこちらの方が好きです。
続くM2はまさにTM節。このブリブリ言わすベースは病みつきになります。
ド派手なホーンに続くリフが印象的なM3。この頭3曲だけでもアルバム買う価値ありってところです。
もう一曲だけご紹介。あの角松敏生が自身の進退を掛けて取り組んだ音楽劇のタイトルにもなり、自身のアルバムにもカバー・バージョン(というかほとんどコピー)を収録したオリジナルがこちらのM8。学生時代からダンスミュージックに傾倒していた彼が、自身のオリジナル・アルバムでも角松節を創造し続けていたダンス・ミュージックの集大成として行き着いたのがこのナラダの世界。角松のアルバム『Inherit The Life』(2022)リリース時のコンサート終了後の楽屋での彼との会話、「何で今更ナラダなの?」と尋ねたら、「だって、格好良いだもん」と無邪気な笑顔で答えていました。改めて聞くと、このアルバムのM1って角松の新譜のM1と雰囲気被ってますね・・・^^;;。ホントこのアルバム素直に格好良いです。
ナラダは1976年からは名門アリスタ・レコードと契約して本格的なプロデューサー、コンポーザーとしても活動を始めます。彼が関わったミュージシャンは数知れず。ドラマーとしても盛んに活動していて、ジェフ・ベックの名盤『ワイアード』(1976)収録「Led Boots」の衝撃的なドラミングなどは圧巻です。
その他にも主なところでも・・・
ホイットニー・ヒューストンやマライア・キャリー、アレサ・フランクリンからライオネル・リッチーまで。まさに大御所だらけです。どれだけスーパーなプロデューサーなのかと・・・。
まだ日本の音楽業界も元気だったあの頃、JTがスポンサーで開催された「JTスーパー・プロデューサーズ」という企画物のコンサートがありました。1994年のデヴィッド・フォスターに続いて、1995年はナラダでした。何でナラダなのかと当時は不思議に思っていましたが、これだけのキャリアがあればキャステイングされて当然でしたね。
当時のテレビ特番の動画がありました。ナラダがプロデュースを手がけたシンガー達がゾロゾロ出演。流石にホイットニーとかは無理でしたけど。とはいえナラダの幅広い音楽性が知れて良い企画です。実は当時私も観に行きましたが、内容は全く覚えていません(大汗)。あらぁ、こんな素敵なステージだったのかと感無量です。
知る人ぞ知るといった彼の存在。でも知ってる人は知っているということで(苦笑)、彼のアルバムのことはちゃんと伝えておきましょう。