【名盤伝説】”Deep Purple / Burn”(紫の炎)
MASTER PIECE UKハードロックバンドの雄ディープ・パーブルの8枚目のスタジオ録音アルバム『紫の炎』(1974)です。
1972年にレコーディングを中断して行われた初の日本公演の模様をおさめた『ライヴ・イン・ジャパン』がバンドの思惑とは裏腹に大ヒットとなり、その後に再開されたレコーディングの末にアルバム『紫の肖像』を73年にリリースします。
ところがこうした過密スケジュールに加えてバンドのフロントのリッチー・ブラックモアとボーカルのイアン・ギランの不仲が取り沙汰されるようになります。加えてベースのロジャー・グローヴァーも脱退を表明する始末。この年の二度目の来日公演を最後にイアンとロジャーが正式にバンドを離れてしまいます。
様々な経緯の末に新メンバーも決まり、いわゆる第III期パープルがスタートします。メンバーはリッチー(G)にジョン・ロード(Key)、イアン・ペイス(Drs)に新メンバーのグレン・ヒューズ(Vo, Bs)にオーディションで選ばれた新人デイヴィッド・カヴァデール(Vo)の布陣となりました。
同年末から新作のレコーデイングが始まり、1974年にこの『紫の炎』がリリースになります。
収録曲
M1 Burn
M2 Might Just Take Your Life
M3 Lay Down, Stay Down
M4 Sail Away
M5 You Fool No One
M6 What's Goin' On Here
M7 Mistreated
M8 ”A” 200
起死回生の一枚はタイトル曲M1のシングル・ヒットのおかげもありUKチャートでは3位、USチャートも9位と好調なセールスを記録し、バンドを代表する作品となりました。
この曲のイントロのリフは、「Highway Star」や「Smoke On The Water」といったパープルの代表曲とともにも当時のロック少年のDNAに刷り込まれたと言って良いでしょう。ハードロックの代表曲です。
新生パープルの特徴となる、今までの伝統的なロック・テイストとクラシック音楽的な展開に加えてブルージーな曲調といったテイストがよく分かるM2。もともとUKロック・シーンではこうしたブルース的なニュアンスを全面に出したミュージャンが多かったのですが、そういう意味ではパーブルはその匂いはあまり感じない曲が多かったような思います。この曲とM7はバンドに新境地を見せていると感じます。
特にこのM7はその後の他のバンドも含めてリッチーのステージでは定番となっていきます。個人的にはカヴァデールの声が一番しっくりします。
イアンのカウベルが耳にのこるM5。マイナー基調なのにどこかポップで耳に残ります。アルバムの中でこの曲、案外人気曲です。
解散危機を乗り越え、ニュー・アルバムも好調ということでその後の活動は順風満帆かと思えば、そうはいきません。マネジメントに対しての不満だけでなく、バンドという集団維持には様々な軋轢はつきものです。
ある意味歴史に残るような名作アルバムを制作しておきながらも、バンドの苦難は続きます。
パープルの他の作品も含めて、1970〜80年代の洋物ROCK系のミュージシャンやアルバムを紹介しています。よろしければどうぞお立ち寄りください。