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【名盤伝説】”Jeff Beck / There and Back”
お気に入りのミュージシャンとその作品をご紹介します。ロック界3大ギタリストのレジェンドジェフ・ベックの1980年リリースのアルバム『ゼア・アンド・バック』です。
前作『ワイアード』(1976)リリース後に、アルバムで共演したヤン・ハマー(key)らとのツアーを終えて、1978年末から再びハマーと新作アルバムの制作に入ります。ただしその制作は難航し、再びツアーに出た後に録音を再開、1980年6月になって4年ぶりのスタジオ録音アルバムとして、ようやくリリースしたのがこの『ゼア…』です。
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レコーディングにはドラムにツインバスの名手サイモン・フィリップスが参加、キーボードにはハマーに加えてトニー・ハイマスが新たに呼び寄せられます。さらにベースにはモー・フォスターと強力なミュージシャンが集められました。
収録曲
A1 Star Cycle
A2 Too Much To Lose
A3 You Never Know
A4 The Pump
B1 El Becko
B2 The Golden Road
B3 Space Boogie
B4 The Final Peace
レコーディング以前からステージのオープニングで演奏されていたA1。ハマーらしいMIDI同期のシンセによるイントロに被さるベックの破壊的なギター、もうこれだけでベックの世界に没入できます。この曲のドラムはハマーが担っています。ここでは2016年のベック・デビュー50周年記念公演のライブ動画をご紹介しておきます。若い才能と躊躇なく競演するベックの勇姿をお楽しみください。
ミディアム・テンポのファンキーなナンバーA2。印象的なメロディ・ラインで小曲ながらも上質なインスト・ナンバーとしての魅力たっぷりです。
荘厳な序章に続いて刺激的なリフと覚えやすいテーマ、これぞベック・インストと言うようなB1。サイモン・フィリップスのドラミングも躍動的で格好良いです!。
アルバム・セールスはUSチャート21位、UKチャートは38位、日本は15位とそれほどでもありませんでした。とはいえ『Blow By Blow』、『Wired』、そしてこの『There and Back』の3作で、ベックによるギター・インストは一つの完成形に至ったように思います。
そんなこの時期、積極的なツアーもあってベックの人気は高まり、そのテクニックに魅了されたギター・キッズを増産していきます。
私もこの時期に初のベック体験しています。サイモン・フィリップスのバス・ドラムの圧をまともにお腹にうけた記憶があります。演奏の内容はめちゃくちゃ過激でしが、特別な演出などほとんどなく、2時間弱の間ただひたすら演奏しまくる、素直に格好良いステージでした。
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私が行った前日(12/17)の模様を収録したブートレッグに収められていたのが以下のリスト。当日のセットリストも多分同じかな?個人的にはほぼベストの選曲です。
01. Star Cycle
02. El Becko
03. Too Much To Lose
04. The Pump
05. Cause We've Ended As Lovers
06. Space Boogie
07. The Final Peace
08. Led Boots
09. Freeway Jam
10. Keyboard Solo
11. Diamond Dust
12. Scatterbrain 〜 Drum Solo 〜 Scatterbrain (Reprise)
13. Blue Wind
14. Goodbye Pork Pie Hat
15. You Never Know
ENCORE
16. Going Down*
【Band Member】
Jeff Beck: Guitar, * Vocals / Mo Foster: Bass / Tony Hymas: Keyboards / Simon Phillips: Drums
2023年1月、ベックの突然の訃報が届きます。細菌性の感染症で78歳の人生を終えてしまいます。多くのミュージシャンに敬愛された孤高のギタリストとして、その名前は永遠に語り継がなければなりません。R.I.P.
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