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★”山下憂 / Ever After Love” (1993)

【SONGS】1993 私のnoteでは1970〜80年代の思い出の曲を中心に紹介していますが、年代問わずに出会った魅力的な曲についてもノンジャンルで記事にしたいと思います。


J-POPのシンガー・ソング・ライター山下憂が1993年にリリースしたシングル「エヴァー・アフター・ラヴ」です。

山下憂のことをご存知の方がどれほどいらっしゃるでしょうか。1955年生まれで1977年にアマチュア・バンド・コンテストで優勝したことをきっかけに業界入りします。86年以降ソロ・シンガーとして活動を始めて、88年にLA録音によるソロ・アルバム『Gloomy』をリリースします。

時代は日本でも海外録音がブームとなっていて、そんな流れに敏感に策したフリーのプロデューサー切さんのAOR趣味も嵩じてLA録音が実現します。

このソロ・アルバムはデヴィッド・T・ウォーカーの全面協力により制作され、カラパナのベーシストでもありAOR系ロス人脈の日本人コーディネーターの佐野ケンジのバック・アップもあり錚々たるミュージシャンが参加しています。

ギターにはデヴィッドの他にディーン・パークスジェフ・バクスター、キーボードにはジェームス・スチューダーニール・ラーセン、ベースはスコット・エドワースに佐野健二、ドラムはエド・グリーンジェイムス・ギャドソン、サックスにアーニー・ワッツなど、実力派が勢揃いです。

収録曲は全て山下による作詞・作曲で、ゆったりとした中にブルージーな楽曲が続きます。これが日本人ミュージシャンによる演奏だと、下手すれば演歌になっちゃうw雰囲気です。時代のAORフレイヴァーに溢れています。


そんな山下が1993年に、再びLA録音を敢行して制作したのがこの「Ever After Love」です。

この作品のプロデュースは何とジェイ・グレイドンです。再び切さんと佐野ケンジ氏のタッグで、当時最も勢いのあったジェイの起用が実現します。

録音はジェイの本拠地ガーデン・レイク・スタジオで行われます。集められたミュージシャンはギターのスティーヴ・ルカサー、キーボードはジョン・ヴァン・トングレン、ベースはジョン・ピアス、コーラスにはクリフ・マグネスなどとジェイ人脈のミュージシャンが勢揃いです。スタジオにはジェフ・ポーカログレッグ・フィリンゲインズらの顔も見られました(もしかしたらこれは前作の制作現場だったかも・・・)

収録曲「Ever …」はジェイ、ビル・カントスらによる共作。カップリングの「One Love」はジェイと佐野氏、そして山下による共作です。

曲調は切さんのオファーで、アル・ジャロウの名曲「モーニング」とディオンヌ・ワーウィックの「フォー・ユー」のような感じということで、まさにメロウなジェイ・サウンドの良いとこ取りをしたような曲が仕上がりました。

カップリングの「One Love」はテンポの良いロック・チューンで、いかにもルークというギター・ソロは聴きものです。

この曲の制作にあたり、ジェイと日本サイドとは日本側の許諾無しにジェイ名義ではリリースしないとの約束だったようですが、Ex-プロデューサーの切さんの知らぬ間にジェイは自身の作品としてリリースしてしまいます。ボーカルは作者の一人ビル・カントスが担いました。

残念ながら山下のテイクはWEBで見当たらず音源を紹介できませんので、ジェイによるセルフ・カヴァー・ヴァージョンをお楽しみください。

この曲は紆余曲折の末にリリースされたジェイのソロ・アルバム『Airplay for the Planet』の完全版にボーナス・トラックとして収録されています。オリジナルは日本人が歌っていたって驚きですよね。

オリジナルの山下のテイクは、日本人のシンガーの曲をジェイが手がけたとして話題になりました。当時J-WAVEでプレビューして業界で話題になったことからパッケージ化が実現したとのことです。私も切さんと知り合う前にCDを購入していましたね。

その後の山下の活動については情報はありません。それ以上に制作に携わった切さんも、今は何をされているのでしょうか・・・個人的に知り合いだったので、その後の消息が気になっています。是非とも連絡をお待ちしております。

そんな思い出もあるナンバーです。




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