【名盤伝説】”Diana Ross / Diana” CHICとの夢の共演。
MASTER PIECE モータウンの女帝ダイアナ・ロスの1980年リリース『ダイアナ』です。
コーラスグループのシュープリームス時代は言うに及ばす、ソロ活動を始めてからもヒットを連発してきたダイアナ。73年の「タッチ・ミー・イン・ザ・モーニング」やマーヴィン・ゲイとのデュエット「ユー・アー・エヴリシング」などは名曲ですね。
彼女の所属するモータウン・レコードにはマーヴィン他にもミラクルズからのスモーキー・ロビンソン、ジャクソン5からのマイケル・ジャクソン、コモドアーズからのライオネル・リッチーなどのスターが続々登場します。モータウン傘下のタムラ・レーベルにはR&Bの巨匠スティーヴィー・ワンダーが所属しています。
とはいえ70年代後半のディスコ・ブームが去ったあたりから、かつての勢いを失いかけていました。ダイアナの活動も今ひとつとなる中で、起死回生にタッグを組んだのはCHICのバーナード・エドワーズとナイル・ロジャースでした。
CHICはディスコ・ブームの中で「Le Freak (邦題: おしゃれフリーク」(1978)のメガ・ヒットを飛ばしたグループです。
タイトなリズム・パターンとベース・ライン、細かなギター・カッティングによるアレンジが特徴的なサウンド。そのサウンド・テイストに託してリリースしたのが、この『ダイアナ』です。
プロデュースや楽曲提供だけでなくミュージシャンとしてもCHICの各メンバーが全面参加しています。
アルバムからのファースト・シングルのM1。グイグイとくるベースラインと特徴的なストリングス・アレンジがいかにもCHICだと納得。とはいえダイアナの存在感はさすが大物。USチャートでも1位を獲得する大ヒットとなりました。
続くシングルとして同じく大ヒットとなったポップなダンス・ナンバーM3。個人的にはアルバムのハイライトかなと。
こうして大評判となったアルバムでしたが、実はモータウン側はあまりにCHIC過ぎる出来に、何とプロデューサーに無断で一部のミックスを変えてしまったのだそうです。怒り心頭のバーナードとナイルは、プロデュース名義を外すように訴えたとのこと。大会社の横暴そのものの出来事です。こんな会社に未来は無いとのビジネス・セオリー通りに80年代半ばには経営不振に陥り、93年には買収されてしまいます。
当のCHICはダイアナのプロデュースで逆に箔が付き、ファンク・ユニットとして更に人気が出てしまいます。まさに”Upside Down = 逆さま”を地でいくエピソードです。
そんなダイアナですが、彼女の威厳は全く衰えません。ジャンルを超えて様々なミュージシャンからのリスペクトを集めて現在に至ります。アルバム単位ではともかくも、私も好きなシンガーの一人です。
参考 : http://www.mossfad.jp/soul/Alb_DianaRoss_Diana.html