【名盤伝説】”STING/ The Dream of the Blue Turtles”
MASTER PIECE UKパンクバンドのポリスの活動休止によりソロ活動に転じたスティングの初ソロ・アルバム『ブルー・タートルの夢』(1985)です。
ポリスだけでは収まりきれなかったステイングの音楽性が遺憾無く発揮された作品です。
元々学生時代には地元のジャズクラブでセッションに勤しんでいたステイング。ポリス結成以前にはジャズ・バンドに参加してアルバムもリリースしていたようです。そんな彼らの活動を見たスチュワート・コープランド(ポリスのドラマー)に見出されロックの世界に勧誘したとのことです。
ポリスの活動については別記事に譲るとして、バンドの活動が休止したことを契機にステイングは自身の音楽性を追求したアルバムを制作します。
レコーデイングに参加したのは、ジャズ界で活躍している面々でした。ビル・エヴァンスなどと活動していたダリル・ジョーンズ(Bs)、アル・ディ・メオラやハービー・ハンコックのアルバムに参加していたオマー・ハキム(Drs)、やはりビル・エヴァンスなどと共演していたケニー・カークランド(Key)、アート・プレイキーなどのアルバムにも参加していたブランフォード・マルサリス(Sax, Perc)などキャリア十分のジャズ系ミュージシャン達です。肝心のステイングはヴォーカルとギターを担っています。
いきなりのメロディアスなロック・チューンM1。スティングのコンポーザーとしての実力がいきなり爆発しています。素直にカッコいいです。
そして一転カリビアンなレゲエ・ナンバーのM2。バック・メンバーも楽しんでプレイしていたのではないでしょうか。PVもかなり独創的。その世界観には正直「まぁね」って感じ^^;;
独特な政治的なメッセージ・ソングのM3。ポリスで聞かせてくれた反骨精神はソロになっても健在です。日本語訳のついた動画でご紹介します。
「おい、ちょっと待ってくれよ、え、もう始めちゃうの」なんて声とともに変拍子のドラム・リフから始まるM5。さすが実力派のオマーだけあって安定感抜群のリズムにきちっとグルーヴも乗せて・・・途中のキーボード・ソロの間もドラムしか耳に入ってきません。こんな即興風な曲も実は計算されたアレンジで凄いです。
この調子だと全曲試聴させちゃいそうなので、涙を飲んでラストM10。PVに登場するスティングはこんなアダルトなロック・チューンも完全にパンク野郎の目つきでカメラを睨みつけています。何度も繰り返しますが、バックには実力派のジャズメンですからね・・・そのギャップはアルバム全体を通した妙な緊張感と鋭さに滲み出ているように思います。新装開店のスティング・ワールドに脱帽です。
UAチャートでは第2位、UKチャートは第3位、日本でも9位を獲得しています。トリプル・プラチナ・ディスクになっています。これは売れますね。
ソロ活動の船出は実に順調でしたということで。
1970〜80年代の洋物ROCK系の記事をこちらでまとめています。宜しければどうぞお立ち寄りください。