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【名盤伝説】”Eagles / One of These Night” (呪われた夜)
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。USウエスト・コースト・ロックの雄イーグルスのアルバム『呪われた夜』(1975)です。
彼らのサウンドはカントリー・ロックと言われていましたが、前作の『オン・ザ・ボーダー』(1974)から起用したプロデューサーのビル・シムジクの影響で、ロック色の強い作品が聞けるようになりました。特に今作ではかつての有力コンポーザーだったJ.D.サウザーなどの起用も無く、バンド・メンバーだけで全曲構成されるなど、新たな方向性を指向したアルバムだといえます。
この時期のメンバーはドン・ヘンリー(Vo. Drs)、グレン・フライ(Vo. G)、ランディ・マイズナー(Vo. Bs)、バーニー・レドン(Vo. G)のオリジナルメンバーに、前作のレコーディング途中から参加したドン・フェルダー(Vo. G)の面々です。
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アルバムからシングル・カットされた曲は全てUSチャートのトップ10にランクインし、アルバムも1位を獲得するなど大成功を収めます。
収録曲
A1 One Of These Nights
A2 Too Many Hands
A3 Hollywood Waltz
A4 Journey Of The Sorcerer
B1 Lyin' Eyes
B2 Take It To The Limit
B3 Visions
B4 After The Thrill Is Gone
B5 I Wish You Peace
A1 アルバムのタイトル曲。邦題が何故「呪われた夜」になったのか問題^^;;。当時のレコード会社の担当者が命名したに違いありませんが、冒頭の歌詞と、アルバム・ジャケットのおどろおどろしいデザインのイメージから付けたとのかなと思いますが、実際の歌詞が意味するところは「狂おしく愛し合う」熱い夜ということかと。呪われたら大変です^^;;。
B1 収録曲の中で最もカントリー・フォーク調のナンバー。オリジナル・メンバーのレドンとフライの二人のハーモニーが美しいです。こうしたテイストがイーグルスの原点のように感じますけどね。
B2 マイズナーの美声が心を打つ名バラード。イーグルスの数々の楽曲の中でも代表曲と言っても良いもしれません。この曲は彼以外のボーカルでは興醒めです。
B5 このアルバムを最後にバンドから離れるレドンのVo. Gによるナンバー。共作者で当時レドンと付き合っていたパティ・デイヴィスは、ロナルド・レーガン元米大統領の娘さんだそうです。物凄い交友関係ですね。
アルバムは大成功したものの、ロック色を強めるバンドの方向性に異を唱えたオリジナル・メンバーのレドンがアルバム・リリース後のツアーを終えたところでバンドを脱退します。代わりに参加したのがジェームス・ギャングのフロントだったジョー・ウォルッシュ。バンドはますますロック色を強めていきます。
そして翌年にリリースされたのがこちらのアルバムです。これが世紀の大ヒットとなりました。
バンドの方向性への考え方や過酷なスケージュールなどで、メンバー間には軋轢が生まれていたようです。大成功の裏側には様々な思惑が交錯していたということですね。「イーグルス」はどこに向かって飛び立とうとしているのでしょうか。