【名盤伝説】”Neil Larsen / High Gear”
MASTER PIECE 西海岸のフュージョン・キーボード奏者ニール・ラーセンのセカンド・ソロアルバム『ハイ・ギア』(1979)です
ニールは前年の79年にソロ・デビュー・アルバム『ジャングル・フィーバー』をリリースしています。
そしてこのアルバムは制作には前作に続いてプロデューサーはトミー・リピューマが担当しています。アレンジャーにニック・デカロが加わっているのが注目でしょうか。エンジニアにはアル・シュミットと磐石の布陣です。
参加ミュージシャンは当時は盟友のバジー・フェイトン(G)、ベースはエイブラハム・ラボリエル、ドラムにはスティーヴ・ガッド、パーカッションはポーリニョ・ダ・コスタ、サックスにはマイケル・ブレッカーと当時のLA・NYオールスターズですね。
微かにラテンの香りがするM1。ニールとバジーのソロ・ワークがいきなり楽しめます。ガッドの決めの細かなハイハットに乗せるエイブの安定のグルーヴが実に心地よいです。ジャケットのイメージからかもしれませんが、地方に向かう高速道路でのBGMとして、当時は大変お世話になりました。
アルバムの中では異色なハードなナンバーのM3。後半のギター・ソロのバックで聞こえるコーラスには、ニール本人の他に何故かパーカッショニストのレニー・カストロと、この年デビューしたばかりのリッキー・リー・ジョーンズがクレジットされています。ただしほとんど聞き分けられませんけど(汗)。逆にリッキーのデビューアルバム『浪漫』にはニールとバジーが参加しているので、この辺りはアレンジャーのニック繋がりということでしょうか。
ジャズ・フレイバー強めのM6。エスニックなメロディ・ラインに絡むニールの生ピアノが良いですね。この曲もドライヴ・ナンバーとしてお世話になりました。久しぶりにこの曲を聴いていたら、当時乗っていた車の中の匂いを思い出しました。
アルバム・ラストもラテン・フレイバーなM7。全ての楽器のプレイを存分に楽しめるナンバーです。ヘッドフォンで是非聴いてみて欲しいです。せーのでのセッションでは無いと思いますが、メンバー皆んなの笑顔が浮かぶようです。
ニールはこの後にバジーらと共に以前に組んでいたユニット名を復活させたアルバム『FULL MOON』をリリースします(1982)。
時代はそろそろフュージョンという言葉が定着し始めた頃。ジャズ、ポップス、ロック、ラテン…などそれぞれのサウンドの美味しいとこ取りのサウンドが世の中に溢れます。特にこうしたインスト物にジャズっぽさを匂わせよう物なら、大声で非難していた方々の声も、ようやく小さくなってきた時代かなとも思います。
個人的にフュージョン全盛期の1枚だと思っています。
1970~80年代を中心に洋物FUSION系の記事をこちらでまとめています。宜しければどうぞお立ち寄りください。