【名盤伝説】”The Crusaders / Standing Tall”
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。ソウルフルなジャズ
テイストのインスト・ナンバーで人気のクルセイダーズが1981年にリリースした『スタンディング・トール』です。
1979年の『ストリート・ライフ』、80年の『ラプソディ・アンド・ブルース』と立て続けにヒットを飛ばしたクルセイダース。
その勢いそのままに新作アルバムをリリースします。
ウィルトン・フェルター(Sax)、ジョー・サンプル(Key)、スティックス・フーパー(Drs)の鉄壁トリオを、このアルバムでサポートするミュージシャンも豪華です。よりファンキーな音作りを目指したのかベースにはあのマーカス・ミラーがほぼ全面参加です。そして1曲だけですがルイス・ジョンソンも加わります。ギターにはお馴染みバリー・フィナティにデイヴィッド・T・ウォーカー、そして元準メンバーだったラリー・カールトン(一時期正式メンバーとクレジットされたこともありましたが、ま、準扱いですかね)など。オルガンにはビリー・プレストンまでクレジットされています。これでファンキーなサウンドにならない方が不思議です。
タイトルナンバーのM1。いきなりマーカスのベースが唸ります。よりポップに、よりファンキーに、それでいて黒っぽいテイストがぷんぷんの、実に彼ららしい曲です。中間部のジョーのローズ・ピアノのソロも素敵です。
そして出ました歌モノM2。今回はジョー・コッカーが参加です。トラディッショナル・ソングのようですが、魂をこめて歌い上げるジョーの本領発揮といった感じです。この曲はグラミー賞にもノミネートされました。
クラヴィネットが効果的なナンバーM3。マーカスのベースとも相性抜群の取り合わせで、ジョーのコンポーザーとしての才能も最高潮といったところでしょうか。アコギのソロを入れてくるあたりがアレンジが憎いです(誰のソロなのか不明で…すみません)。
そして唯一ルイス・ジョンソンがベースを担うM4。歌モノ2曲目です。ボーカルは同じくジョー・コッカー。ファンク一発!!明るくポップに楽しいナンバーです。もしかしてこの曲のオルガンがビリーでしょうか。バックの女性コーラス隊も素敵です。こんなに楽しいクルセイダーズの曲って珍しいです。
アルバムの締めは、いかにもクルセイダーズらしい渋いナンバーM7。この曲も肝はマーカスですね。跳ねてウネって大活躍です。ジョーの生ピアノのソロもいかにもな雰囲気で最高です。
そしてアルバムのアウトロM7としてM2のリプライズが収められています。オーケストラ・アレンジで歌は入りませんが、フェルダーのサックスが心に沁みます。
経緯は不明ですが、残念なことにドラムのスティックス・フーパーがこのアルバムを最後に脱退してしまいます。これでフェルダーとジョーの二人だけのユニットとしてクルセイダーズが存続していくこととなります。
時は流れて、クルセイダーズ結成時のオリジナルメンバーのジョー・サンプルとウェイン・ヘンダーソンは2014年に、ウィルトン・フェルダーも2015年に相次いで亡くなられてしまい、当時のメンバーで存命なのはスティックス・フーパーだけとなってしまいます。このM7を改めて聞くと、亡くなられたメンバーへの鎮魂歌のように聞こえてなりません。
時代のクロスオーバー~フュージョン・サウンドを代表するバンドとして彼らの名前は永遠に残すべきだと思います。R.I.P.
[追記]
そういえばクルセイダーズのコンサートを見たのはいつだったかとファイルを見直していたら、このアルバム・リリースの翌年1982年1月ということで、いわゆるオリジナルのメンバー3人が最後に揃った来日でした。サポートのギタリストもディヴィッド・T・ウォーカーにバリー・フィナティ、エディ・ワトキンスと豪華3本立て。私もまだ大学在学中でしたので、よくぞこのチケット取ったよなと我ながら感心してしまいしまた^^;;。
1970~80年代を中心に洋物FUSION系の記事をこちらでまとめています。宜しければどうぞお立ち寄りください。