【名盤伝説】”TOTO / The Seventh One”
MASTER PIECE USロック・バンドTOTOの7枚目のアルバム『ザ・セヴンス・ワン』(1988)です。
TOTOデヴュー10年目、ヴォーカリストのジョセフ・ウィリアムスが加入して2作目のアルバムとなります。デヴィッド・ペイチ(key, Vo)、ジェフ・ポーカロ(Drs)、スティーヴ・ルカサー(G, Vo))のオリジナル・メンバーとマイク・ポーカロ(Bs)と、個人的には黄金期のライナップで『TOTO IV』に匹敵する充実のアルバムだと思っています。
アルバムトップを飾る、いかにもTOTOらしいミディアム・テンポのロック・チューンM1。表現力豊なジョセフのボーカルと、ジェフのゴースト・ノイズたっぷりのドラムはいつ聴いても心地よいこと100万点です。
毎度お馴染みルークとコンポーザーのランディ・グッドラムのコンビによる女性名を冠したバラードM3。こうした美しい曲調に挿入される破壊的なルークのギター・ソロはTOTOのラインナップとして定番となりましたね。曲を盛り上げるストリングス・アレンジはペイチのお父様のマーティ・ペイチです。
大ヒット曲「アフリカ」の続編のようなM5。この曲のジェフのドラミングも凄いです。ポーカロ兄弟のお父様ジョー・ポーカロがパーカッションで参加。サビの美しいコーラスには歌姫パティ・オースティンが参加しています。アコギとスティール・ギターによるソロの掛け合いも素敵です。
ルークのギターが唸るロック・チューンM8。前作で音づくりが変化したギター・サウンドもようやく落ち着いてきたようで、個人の好みはありますが、この位のエフェクトで十分だと感じます。ジョセフのハードな歌いっぷりも良いですね。
箸休めのM10。この曲で聴けるジェフのハーフタイム・シャッフルは唯一無二。アクセントとなるホーン・アレンジはトム・スコット。大人のためのロック・チューンというTOTOの世界観を代表するような曲だと思います。
シンセ・オーケストレーションによるイントロが期待感を煽るM11。レコーディングの最中にバンドからは離れましたが、スティーヴ・ポーカロによるシンセ・プログラミングがこの曲でも活かれていると思います。アルバム・ラストを飾るにふさわしいドラマチックな構成です。
肝心のタイトル曲がアルバムからは漏れてしまい、日本盤CDのボーナストラックとなってしまっていますM12。後にリリースされるベスト盤に収録されます。無理にでもどこかに挟み込むことは出来たでしょうが、ま、そんな感じです。
アルバム・リリース後のツアーには日本公演もブッキングされました。
個人的には好きなアルバムですが、所属レーベルのプロモーションが中途半端に終わってしまい、USでのセールスは全く低調だったようです。またツアーの途中でジョセフの体調不良により十分なパフォーマンスが保てなくなり、黄金期を迎えたと思った途端の3代目ボーカリストも解雇されてしまいます。
解雇に至った経緯についてはジョセフの過度の薬物依存だとされています。特にヨーロッパ・ツアーではとうとう演奏不能になるなど相当なものだったようです。バンドとしては様々な処置を施したものの改善せず、とうとうジェフから「彼を解雇しないのなら私がバンドを去る」とまで言わしめたとのこと。
バンド活動が低迷する理由として、レコーディングとツアーの繰り返しでメンバーの疲弊が原因になることが多いです。ツアーにはファンが想像するよりも相当のストレスがかかっているようです。
バンド稼業もお気楽ではないということですね。