夕焼けと晩ごはんの匂い
私は今一軒家が建ち並ぶ住宅街の中のマンションの一室に住んでいる。
今在宅勤務をしているので、朝から晩まで人が生活している音が聴こえてくる。
朝は小学生がおしゃべりしながら登校している声。保育園の先生が子供達とお散歩している声。
昼間は近くの学校からの体育祭の放送や部活と思われる野球の金属バットの音。
夕方になると子供達の下校中のおしゃべりや、自治体の定時を知らせる音楽や夕方のお知らせの放送。
こういう音を聴いていると、自分も現実世界に存在している実感を持てる。
人々が暮らしている、私もその中にいるんだ、と感じられる。
人々の暮らしを感じられるのは音だけでは無い。匂いもそうだ。
夕方になると晩ごはんの匂いがしてくる。
カレーとかみたいに明らかに献立がわかる匂いではない。何かはわからないけど懐かしい匂いだ。
小学生や中学生の頃の夕方を思い出させる懐かしい匂い。
匂いが引き金となって、その当時の感覚が蘇ってくる。
夕焼けの空
献立がわからない晩ごはんの匂い
たまに吹いてくる心地よいやわらかい風
耳で聴く音よりも鼻で感じる匂いの方が、あやふやで、その分記憶もぼんやりとよみがえらせる。
それは都合よく良いものだけをよみがえらせてくれる。
一人暮らしだと晩ごはんも簡単にすませてしまいがちで、こういう懐かしい匂いのする料理はあまり作っていない気がする。
自分の家で懐かしい匂いをさせるようにしていこう。