長篠・設楽原の戦い 第一幕 援軍要請の場
⑤ 登場人物 利修仙人について
11月17日に行われる新城歌舞伎の外題
天正合戦絵巻 長篠・設楽原の戦い 第一幕 援軍要請の場
これは、長篠城の下級武士・鳥居強右衛門が岡崎の家康の元へ援軍を要請に行く場面で、約10年前に「第二幕 強右衛門磔の場」を演じた後で書き下ろしたものです。
城から脱出し豊川を泳ぎ、雁峰山まで登り、味方に狼煙をあげて合図する。その後岡崎城で家康と信長に「城はあと4日しかもたない」と訴え援軍を約束してもらい長篠城に戻る
歌舞伎では、岡崎城で家康が信長と長篠城の様子を話しているところから始まります。そこに強右衛門がやってくる。
後半の登場人物に利修仙人がいます。
彼は、鳳来山の仙人で、その昔文武天皇の病を治したとされる人物で、木の祠に住み小鬼を三匹側に置いていたといわれています。
歌舞伎では、小鬼の代わりに小坊主二人にしました。
セリフの中に
「この戦、ほの国作りし大己貴命と利修がとくと見定める」というのがあります。鳥居強右衛門が野武士の襲撃に会う、仙人が出てくる、野武士とのやり取りでのセリフです。大己貴命とは本宮山、利修仙人は鳳来山。その二つの山をつなぐ雁峰から二人で戦を見届けるというのです。
そして、そこの絡みが後半の山場です。仙人ですので、妖術をつかいます。
小坊主のセリフに「お前たちはもう石となったわい」
「コロコロ転がり石座神社の石となるが良いわい」
というのがあります。
利修仙人が妖術を使い野武士を石にしてしまう場面てす。
石座神社は新城でも有名な神社で、神社としての位というか、縁起というかがかなり高いようです。神社に石がたくさんあるので思いついた趣向です。
仙人が野武士を石にすると小坊主が,石に向かって、石座神社まで転がり落ちて行けというのです。
この趣向を思いついたのが、二年前に柴田晴廣氏の「穂国幻史考」という書物に出会ったのがきっかけです。じっくり読み込むと一年以上かかりそうな、又、妄想で寝られなくなりそうな奥の深い書物です。