歌舞伎 戦国天正合戦絵巻 「野田城の戦い」第二幕 信玄終焉の地の場 後半
元亀四年、武田信玄は野田城を落とし、城主菅沼定盈を捉えドドメキ城にて接見。数々の武功を褒めたたえ「殺すには惜しい武将」だと絶賛し、家臣になれば所領は望みのままにあてがうという。
定盈は徳川家康への忠臣を改めて誓い、信玄の家臣になることを辞退、一刻も早く切腹したいと願う。
信玄は、家康からの書状を定盈に見せ、家康が浜松にある武田方、山家三方衆の人質三人と定盈一人を交換することを望んでいることを伝え、豊川のほとり広瀬川原で人質交換をするという。さらに驚く定盈に「そなたの縄を解いてやろう」と言い出す。
身軽になった定盈は、今ここで縄を解いてよいのかと信玄に問うが、信玄はさらに鉄砲の名手「鳥居三左衛門」の鉄砲の命中力を褒め、自分の陣羽織を下肢する。この時、不思議なことに三左衛門の縄は自然に解ける。
さらに、信玄は笛吹の名人「村松芳休」に、信玄が笛の音を褒めていたとおかしなことを言いだす。
その後、太鼓・笛と共に奇妙な声を発しながら次々に捕らわれ人の縄を解き、動き回り、尻尾をちらつかせる
ついに信玄は「自分は笛の美しい夜信玄に助けられた手負い狐だ」と明かす
その後、キツネは軽快なリズムに合わせ踊り出す。
信玄狐は手で操り定盈、奥方、家臣達を躍らせていく
踊りが終わるとキツネは「信玄どのはあの日鉄砲でお果てなされた」と打ち明ける。「なんと、すでに信玄殿は命をおとされたのか?」鳥居三左衛門が訊き、「狐殿は命を助けられた恩返しに戦を止めようとして今ここにいるのか?」と奥方が聞くと、狐は、この信玄狐と美しい笛の音に免じて武田軍、徳川軍双方矛を納めて欲しいという
定盈と信玄の家来は、信玄狐の言い分を聞き、野田・広瀬川原で人質交換し、武田軍は甲斐に引き上げることを約束し、幕が下りる。
この歌舞伎は、2023.11.19新城市文化会館で行われた新城歌舞伎公演の「山・臼子歌舞伎保存会」(素人歌舞伎)による地歌舞伎演技です。
今回が歌舞伎初挑戦の7人、後継者として頑張っている若者4人、30年以上の経験者3人、そして裏方、総勢20人以上で九月から稽古したものです。
化粧、衣装、マイク、舞台、全部そろっての練習が一度もなく、文字通りぶっつけ本番!思わぬハプニングもあり、吉と出るか凶と出るか、ハラハラの本番でした。
会場からの思いがけない拍手・手拍子に救われ無事に幕引きまで演じられました。
この、地元オリジナル歌舞伎
できればいつかまた、再演したい!です。