眠り過ぎた女
カタン!
頭が前に倒れた
何が起こったのかと目を開けると周りは何事もなかったかのようだった
扉の向こうにはホームを歩く人が見える
ああ、知っている
専門学校の看板
縦並びの5つの椅子
ああ、知っている
階段を登ればガルボのチョコを買えるコンビニがある
改札を出るとスコーンを売っているパン屋もある
そうだ、そこを出ると赤い遊歩道だ
ああ、知っている
私はこの駅を知っている
降りたかった
どうしてもこの駅で降りたかった
しかし無常にもドアは開かない
そして電車は静かに次の駅へと動き出した
寝過ごした いや 眠り過ぎた女