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ギリギリの人
1年ほど前の話。朝、会社の最寄駅で降りると、いつも階段の下から駆け上がってくる男性がいた。30代くらいだと思う。
私がすでに階段を降り始めているのだからもうドアが閉まってもおかしくない。
間に合ったのかどうか見てみたいが見たところで「セーフ」と言うわけでもないので、気にしないそぶりで階段を降りる。
いつもふーふー言って肩も上下している。汗だくだし、ワイシャツは裾が斜めに出てるし、髪の毛もボサボサだし…
もうちょっと早く起きればいいのになあ…。
と、思った時、
「あの子、いっつもあれやで。もうちょっとはよ起きたらええのになあ!」
「ほんまや。起きられへんのかいなあ。1分はよう(早く)でええんちゃうの⁈」
と、私と同じ世代の人たちの声が聞こえてきた。
ほんまそれ。
このタイミングでとりあえず電車に乗れてるなら30秒早くでいい。
そして別の日。
相変わらずギリギリのくせに、ちらりと階段下を見たなと思ったら、ドアにゆっくりと立ちはだかるようにした。流石に私もなんでかなと思って気にしながら階段へ向かうとなんと!
女性が駆け上がってきている。
そうか、この人がこの電車に乗れるようにしてるんだ。
へー、気持ちがわかるんやろなあ、電車に間に合いたいって。
いやいやちょっとまて。
自分も思いっきりギリギリやん。
常習やし。
人のことかまってる場合と違うで。
電車の発車も遅れるやん。
最近私は出勤時間を変えたからもう会わない。
今も変わってないのかな。
ちょっとは変わらなあかんよなあ。
あんなマンガみたいな人、なかなかいないから今はちょっと会えなくてつまんないな。
今日もいってらっしゃい。