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独りよがりの解釈だが
前回投稿記事つづき
逆流した珈琲は
喉奥分岐点行っちゃいけないところに
行きたがる加齢の罠にヒヤヒヤする
三番目の妹よ どゆこと?
「 若い頃お兄さんは
近所に住む幼馴染との結婚を勧められる
結婚のご祝儀を父親の選挙資金に
充てようと企てられた
当然そんな結婚などしたくはないし
猛反発したがとりあえず式を挙げる
苦し紛れにお嫁サンバを熱唱するが
ご祝儀もさほど集まらず出馬もできず
同居もしないであっさり離婚 した」
と、聞いている
だと
待て待て
記憶のページを最速でめくっても何処
にもないよそんな場面
唯一お嫁サンバは兄の十八番だ
苦し紛れにこのタイミングで熱唱とは
いかん
なんだかハチャメチャすぎて
笑いのスイッチが入りそう
落ち着けわたし
ひとつひとつ答え合わせをしよう
近所の幼馴染 → わからない
選挙に出馬 → 寡黙な父親が選挙に
出馬するわけがない
結婚式 → 親族なのに出席していない
なにひとつ答えが合わない!
「もしかしたら選挙は
お相手のお父さんのことかもしれません」
真顔で疑わない妹に苦笑いする
そうだ
兄が亡くなるまで信じていたんだ
当時の職場や周りの人たちも
そう聞かされ信じていた
苦しくなってきた
申し訳ない気持ちになってきた
兄を慕い信じていた多くの人たちへ
謝罪の言葉を!
と、マイクを向けられている気分
兄は何故そんな話をしたのか
急いで仮説を立てる
兄は若い頃から家庭を持ちたくないと
言っていた何度も聞いた
その理由は本人しかわからないが
姓も俺の代で終わりだとも言っていた
兄にとって結婚の話はタブーだろう
その話題に自分が入らない入らせない
ための作り話
年頃の男性でも女性でも
恋人がいるいない
結婚するしない
いろいろあるけれど
世間体を気にする時代に生きてきた我ら
できるできない
当り前なことができないと欠点呼ばわり
できないよりできたけれどダメでしたの
ほうが気持ちが楽かもしれない
できない欠点を偽りの欠点で上書き
バツイチにしちゃった説
一旦持ち帰り
最後の切り札長女に連絡をとる
兄とは年子七つ離れたわたしより
わたしの知らないことを知っているかもしれない
かくかくしかじか伝えると
「 結婚はしてない戸籍も綺麗 」
と、秒で返信が来る
「 だよね 」
話題にされたくないので
俺バツイチになるー!が有力な説
三番目の妹よ
勿論今となっては真相は不明
嘘、偽り、真偽、デタラメ…
兄の行為はいづれにも当てはまるだろう
わたしの
独りよがりの解釈ではあるが
これは自分を守るための作戦だと思う
亡くなるまでバレなかったということは
作戦大成功と言える
己の物語に好きな色を足しただけ
今後このくだりも
兄を語るネタになるだろう
三番目の妹よ
あなたは何を思う 聞かせてほしい
追記
あれから連絡を取り合い
答えの合わない部分は、
謎のままにしようということになった
わたしが見てきた兄も、
彼女が見てきた兄も
どちらも紛れもなくおにいちゃんだから