中小企業のデータバックアップ方法 おすすめはクラウドです
今日もこのnoteをご覧いただきありがとうございます。
本日は、特に中小企業のみなさまにお勧めの重要データバックアップ方法を申し上げようと思います。
中小企業においてデータバックアップが疎かになりがちな理由
この文章をご覧になっていただいている方は、おそらく何らかの団体・企業の関係者かと思います。その中で、データのバックアップがおろそかになりがちなのが中小企業なのです。日本は、企業の数の中に占められる中小企業の割合が特に多いことが知られています。そんな中小企業にお勤めの方にとって、データバックアップとその管理というのは結構なご負担になると思うんですね。
その理由について、弊社では以下のようなことを想定しております。
コスト
バックアップというのは、自社内で作成して自社内に保存しておくだけでは不十分である、というのを如実に示したのが東日本大震災でした。要するに、自社内で作成して自社内で保存しておくという形式では、社屋だけではなくその存在する街まで根こそぎ持って行かれてしまうレベルの災害では全く役に立たないのです。バックアップという行為の見直しを迫ったのがこの大災害でした。
というわけで、インターネットを通じて「どこかここでない場所」にバックアップをするというサービスを提供する会社が脚光を浴びました。その「どこかここでない場所」には大きく2種類があります。
遠隔地にある、遠隔地バックアップサービス提供会社のサーバー
クラウド
どちらもそうなのですが、ローカルの操作を即時に反映して「どこかここでない場所」に最新のバックアップを保存しておく、ということができるようになっています。
しかしどちらもそうなのですが、容量の制限が結構タイトです。
「無料で使える」ということを条件にしますと、名のあるところでは「Googleドライブ」が15GB、「OneDrive」が5GB、「Dropbox」が2GB、「BOX」が10GBといったところです。皆様、これ、TBの間違いではありません。GBの話です。
自慢じゃありませんがこの文章を書いております私こと村島唯朗は、自分の個人用PCに積んでおりますストレージの合計が17TBあります。まあ、私の管理しておりますプログラムやデータの総量が17TBに届いているというわけではないのですが、それにしても10GBや20GBなんてあっという間に埋まってしまうぐらいの容量は扱っています。
では有料ではどうなるかと言いますと、容量1TB・ユーザー数100人で使用するとしますと最安値で20,000円弱、最高値で240,000円します。だから私の個人用PCですら17TBなんだから容量が小さすぎるんですってば。これはもう、作業をひととおり終えた最終生成物を置いておけるに限ったサービスと言ってもいいと思います。
というわけで、容量無制限のサービスを調べてみますと、最安600円/1ユーザぐらいですね。中小企業と一言に言いましても従業員数は数名~数百名だと思うんですが、仮に10名様で運営していらっしゃる少数精鋭の企業様だと6000円/月、これぐらいは何とかなりそうですね。しかし仮に500名様の、もうすぐ「大企業」に向かって飛翔する可能性がかなりある企業様ですと月額300,000円。う~んこうなると「安い」と言うにはちょっと抵抗を感じる、といったところでしょうか。
しかもクラウドストレージを選ぶに当たって値段だけで決めていいものではありません。セキュリティ・ウィルスチェック、アクセス権制御・データ暗号化など考えますと、せめてこのくらいの機能は載っていて欲しい、というサービスは1,500円~2,000円/1ユーザぐらいの金額になってきますね。500名様で、1,500円のサービスを利用すると750,000円/月。なかなかな金額になってきますね。
手間
かつては企業の情報担当の方を大きく悩ませたのがこの手間です。いったんシステムの使用をすべて止めて、ストレージからバックアップを作成し(どういうメディアにバックアップするのが相応しいのかは前回の記事をご覧下さい)保存しておく必要があったわけですが、クラウドを利用すると自動で同期が取れるようになりましたので、そこは便利になったところだと思います。
意識の低さ
これは非常に申し上げにくいのですが、日本の中小企業というのはセキュリティ意識が希薄な会社様も少なくありません。ツーと言えばカーで運営できる会社様の中では、自分たちが扱っているデータがあまりに日常的なため、その重要性や失われた際の損害をあまりお考えではないんですね。
ちょっと余談になりますが、ごく小規模な会社から始まって巨大企業にまで成長した会社でも、ごく小規模だった時代の考え方から抜け出すことができず、結果として会社ごと海外資本に買収されてしまった会社もあります。どこの会社かは伏せますが。
ということになると、勝手かつ自動的にクラウドという「どこかここでない場所」に保存してくれるクラウドはやはり便利です。品質に満足できて、しかも容量無制限ということになると必ずしも安くはないのが難点ではありますが、そこは必要経費と考えますとやっぱりクラウドをご利用になるのが一番相応しいのではないかと思います。
クラウド万能説にちょっと待った
というわけで、現在クラウドストレージの利用が急速に進んでいます。データの保存もしてくれる上にサーバー上で様々なサービス、例えばワープロソフトとか表計算ソフトのようなものも利用できるとなりますと、クラウドの便利さは身をもって感じます。それはもう、私自身常々感じながら日々を過ごしています。
しかし、クラウドはインターネットの上でデータをやりとりするものなのですから、やはり良好なインターネット接続環境を利用できることが前提なんですね。特にモバイル端末から使用するときは重要です。飛行機の中、船の中(いまどき船で長距離移動する方というのも少ないでしょうが)、野迫川村の中(野迫川村在住・ご出身の方すみません)など、案外インターネット利用ができない場所というのはあるんです。
これは「人口カバー率99%」を達成した楽天モバイルのサイトから拝借しましたサービスエリアマップなのですが、人口カバー率が高くなっても実は土地カバー率を基準にするとスッカスカなんです。紀伊半島を選んだのは上で野迫川村を取り上げたからです。楽天モバイル様の名誉のために言っておきますが、たまたま楽天のデータを使いましたが、他のキャリアも似たようなものです。日本は狭い平地に人口が密集している国ですので、90%台後半までは割と簡単に上がるんですよ。しかしそこからが茨の道なんです。簿記をご存じの方ならおわかりかと思いますが、もう進むも地獄退くも地獄の世界なんです。私も通信会社にいたことがあるからわかります。頑張って下さい、三木谷社長。
話を戻しますが、有線のインターネットを使える場所であっても、必ずしも通信環境が良好とは限りませんよね。状態が悪くなることはあり得ます。
何より弊社が強く主張しておりますのは、クラウドのバックアップを利用していると↓この範囲のデータ消失ですとか
↓ここまでの範囲のデータ消失ですとかは何とかなるんですね。
でも、↓このレベルでやられてしまったらどうしましょう?
クラウドにデータを置いておくだけで対策万全とは思えません。
バックアップの3-2-1ルール
以前から何回も申し上げている言葉ではありますが、ここでお考えいただきたいのがバックアップの3-2-1ルールです。
オリジナルからバックアップを違う媒体に2つ作成(合計3)
バックアップ2つを保管(合計2)
うちひとつを遠隔地に保存(合計1)
というわけです。これは米国土安全保障省のサイバーセキュリティー・インフラストラクチャー・セキュリティー庁(CISA)が運営するセキュリティー組織であるUS-CERT(United States Computer Emergency Readiness Team)が2012年に提唱しました。もっとも、それより以前に写真家のピーター・クローグさんが2005年に「The DAM Book」という本で提唱したというのもあるそうです。
ローカルがオリジナル、クラウドがバックアップ、とするとあとひとつは何なのかという問題になるわけですが、弊社では、前回の文章にも書きましたとおりSSDが最適であり、それもコールドバックアップすなわちシステムの使用をすべて止めた状態でのバックアップを強く推奨しております。
クラウドはメンバーのめいめいが利用しながらのバックアップですので、何か事故が起こってリストアしよう、というときにデータの整合性がとれていないことがあるのです。コールドバックアップではそのような問題は起こりません。
また、上記に掲げました最後の図で赤い範囲内がすべて失われてしまったとしても、PCさえ用意すればバックアップのドライブをそのまま接続して以前と同じように利用することも可能です。
最後の砦としてのコールドバックアップ
上で中小企業においてバックアップを取るという行為がおろそかになりがちな理由のひとつとして「手間」であると申し上げました。これは決して嘘ではありません。そして弊社がそれに対する完全な解決方法を持っているわけでもございません。
しかし、東日本大震災クラスとは行かなくとも、火事で建物が焼失した、古い建物が強い地震により傾き中に入ることが禁じられたなどの事態は起こっても不思議ではありません。そういうときに弊社をご利用いただいていれば、仮設の環境で業務再開ということは決して難しいことではありません。事業継続計画(BCP)に堂々と述べていただけるサービスだと考えております。目標復旧時間も短く設定可能です。
例えば半年に1回でも、1年に1回でも問題はないと考えております。フルバックアップが面倒ならば差分バックアップでも結構です(増分バックアップについてはご相談下さい)。弊社内で、いつでもダメになったドライブと入れ替えていままでどおりお使いいただける形に整えて待機しております。
ぜひよろしくお願い申し上げます。
小括
保険の類と同じで、安全のために支払うお金というのは、平時にあっては無駄にも思えるものです。
しかし、いざ何か起こってしまったら、これまで払い続けていた保険料と引き換えに提供されるサービスがほぼ唯一になるかと思います。
そういったご事情もお考えになった上で、弊社のご利用をお願いできればと思います。
価格も手間も最小限になるよう、我々の方でその部分は負担させていただく所存でございます。
何卒よろしくお願いいたします。
目次
クラウドストレージが持つ特有のリスク
クラウドストレージが持つ特有の脆弱性
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5