月下の歩哨/暗い、cry、位
月下の歩哨
歩く 歩く 歩く
この荒野をどれほど歩いたか、もはや自分でも分からない
ただひたすらに、脚を動かすだけである
歩く 歩く 歩く
右手と右肩に載りかかる銃は敵を倒すためのモノであったが
もはやこの荒野において、敵は歩みを止めぬ己自身しか居ないことを知る
歩く 歩く 歩く
外套の下に隠れたロケットペンダントの写真は劣化が進んでいた
辛うじて分かるのは
椅子に座る女性と、傍らに立つ男がいるらしいということであった
歩く 歩く 振り向く
ただ薄暗い闇のみが、そこにある
向