連載13回目の月刊ショパン誌、発売です!テーマは、アメリカ合衆国のピアノ教本5回目 4 丸山京子 2022年12月18日 23:33 今回は、1967年に米国で出版された、グローバーピアノ教育ライブラリーを取り上げました。300人を超える大きなピアノスクールを経営した町のピアノの先生だったグローバー氏。彼がピアノ指導者になったきっかけは戦争(第二次世界大戦)でした。現代のように教材がまだ豊富でなかった当時、教えながら手書きの教材を書き溜め、それが教本執筆につながりました。優秀な彼の教室の講師たちとの共同作業で実験を繰り返し、編纂されたグローバーピアノ教育ライブラリーは、多くが教師たちとの共著です。ピアノ教本を根幹に、ドリルブック、併用曲集、ドリルブック、テクニック、小曲集、連弾曲集、クリスマス名曲集など7段階、全40巻からなるシリーズは、現在全22巻が出版されています。小曲集と連弾ブックははとても面白い作品が入っていて、長く愛用しています。連弾ブックは、現在絶版で残念!米国でも長く人気のあるこのシリーズは、時代の波を受けて、聴音やソルフェージュなどの内容が補足された新シリーズが1988年にみんなのグローバーとして出版。さらに大きく変わった点は、幼児向けレベルの楽譜提示です。専門の基礎知識を学んでいなかった彼は、指導者になってから、必要を感じて音楽専門大学に入学。その後、指導と執筆に情熱的に取り組み続け、新シリーズ出版と同じ年に彼は人生の幕を引きました。教本の種類の多さと、よく考えられて構築された内容からもグローバー氏の並々ならぬ勤勉さと指導への情熱が伝わります。新シリーズでは、幼児の読譜学習で相対読譜法の一つ、プレリーディングが採用されています。5線を用いないで導入する読譜学習法は、幼児レベルのアメリカ合衆国の教本の多くに用いられ、今や一般的。その後、世界に波及していきます。写真は、アメリカの教本メインストリームス幼児レベルのドイツ版。写真右は、国際学会で発表された、あるカナダの公立学校の3音パターンによるソルフェージュ楽譜。この3音パターンのソルフェージュ指導法は、私がペースメソッドを通して始めて知った方法で国際学会の分科会で拝聴したときは驚きでした。楽譜の導入は、初心者向けに工夫されるのが当たり前の時代になりました。写真は強弱や音楽のイメージを記号化してGraphic Notationで記載したもの。カナダの公立学校の先生の発表なのですが、実は、30年も前のお話。今後、学び方や教え方は、益々工夫を凝らして進化していくのでしょうか。興味津々!時代の変化を受け入れて、自身も進化していきたいものです。最後までお読みくださり、ありがとうございます。米国教本は、3月号が最終回、私の連載は6月号まで!無事に連載1年を過ぎ、ほっとしつつ、次号の内容に心を巡らせています。またお目にかかれますように✨✨✨皆様との出会いに心から感謝申し上げます。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #ピアノ #鍵盤楽器 #教本 #ピアノ教育者 4