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谷川俊太郎さんを偲んで〜ピアノ教本に託した願い〜


谷川俊太郎さんが、幼い頃にピアノを習っていたこと、途中でやめてしまったこと、
その時に感じた思いをずっと心に秘めて
大人になられてから書かれたいくつもの詩
1986年に出版されたこの教本に
谷川俊太郎さんの素朴な詩が
機械的な練習を子どもたちがもっと楽しめるように…
そんな願いが込められて寄せられています
タイトルは、うたおう こどものバイエル
谷川俊太郎さんの書かれた詩を
哀悼の気持ちを込めて
ここに投稿させていただこうと思います
この教本が出版されたのは1986年
当時、今日のように溢れるほどたくさんの種類の教本があったわけではなく、
広く使われたバイエルに対して
機械的な練習に陥りやすいなどの批判があり、
もっと子供達が楽しめるように
という願いを叶える一つの方向として
歌詞をつけてみようという試みが動き出し、
この教本が出版されたのだそうです。
出版当時は、画期的な教本として注目されましたが、
すでに絶版となり、再版の可能性がないので
作曲家 中田喜直先生と谷川俊太郎さんの序文全文を
謹んでここにup させて頂きます
長く教本研究をしてきた私にとって
どの詩も素敵で、ずっと心に残る教本の一つです。
言葉を大切にした谷川俊太郎さんの思いが
どの詩からも伝わります
バイエル全曲1〜106番までタイトルと歌詞がつけられていて
谷川俊太郎さんが詩を寄せられたのは
1、おやつ / 13、きりがない / 25、よいこらしょ
37、まほうつかい / 49、じいさま ふたり / 61、じけん
74、のみがぞうに恋をした / 84、 ゆびがうごく
94、おとうさんの朝 / 106、こわい こわい

13番 きりがない
上げたり 下げたり
上げたり 下げたり
上げたり 下げたり
きりがないー
ちょっと苦笑気味の私です。
この詩を笑いながら唱えながら
子供達が飽きずに練習してくれそうな気分になります
74番 のみがぞうに恋をした
小さなのみが 大きなぞうと
ある日 恋に落ちたよ
大きなぞうは 小さなのみには 
キスができず 泣いたよー
悲しい しくしく
おかしいー ハハハハハハー

なんて可愛いロマンスでしょう!
3連譜の練習が一気に楽しくなりそう
106番 こわいこわい
森の奥から 海の底から
何が来るのか こわい
耳をすまして 目を見開いて
待つだけだ
森の奥から 海の底から
とうとう出てきたもの
それは何か まるいまるい
石ころひとつ

詩を味わってから練習したら、
きっと流れのイメージが膨らんで
詩を唱えながら弾いたら、
きっと拍や休符をしっかり感じる練習にもなりそう…
そんな気にさせてくれる詩だと、私は感じています

虹の橋を渡られた 谷川俊太郎さんを偲び
哀悼の気持ちを込めて書かせていただきました
心より 谷川俊太郎さんのご冥福をお祈り申し上げます

最後までお読み下さり、ありがとうございます


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