「期間限定の友達」と突然の終わり
目が覚めてスマホのアラームを消そうと思ったら女友達からお別れのラインが届いていた。「既読がつかないし友達は辞めよう」と書いてあった。びっくりした。
その女の人は、内容の深刻度に関係なく自分は返信が遅いタイプだと何度か言っていて、実際に返事は4〜6日後だったし、私は返信はすごく早いほうだけど相手のペースにある程度合わせていると告げいてて、だから返信は1~3日後にしていた。
金曜日の23時半すぎに「また今度いつもの場所でお茶でもしない?」と連絡が来て、日曜日の朝6時に先のお別れラインが届いた。私は週末は心身ともにバタバタしていて、連絡する時間はあるにはあるけど精神的に送る元気が出ない状態だった。
私達はお互い異性愛者だし、お互いいつか好きな人が出来たらその人と一緒に暮らすのが夢だった。「期間限定の友達」だった。もしかしたら普通に彼女に彼が出来ただけかもしれない。けれど最後に会ったとき、その人は精神的に参っていて気が張っているように見えた。何かを怖れているように見えて、それが他者への攻撃という形で身体化しているように感じた。
そうして、返信に私よりずっとこだわりのないその人が、自己完結型の、切り離すようなさよならを突然送ってきたことに何か不調のサインを感じた。心の核にある、すごく大切な話をしてくれた人だったし、私もしていた。期間限定と書いたけど、可能ならずっと友達をしたかったし、大切に想っていた。だからひとまず、「いままでありがとう」と締めくくられたラインに対し、自分の気持ちを正直に告げようと思った。ブロックされていたら、普通に諦めれば良い。
私は、
・まず驚いていること
・体調を案じていること
・少し悲しかったこと
・週末は気持ちの余裕がなかったこと
・お茶をするつもりだったこと
・返事をもらえたら嬉しいこと
を書き、最後に「彼ができたとか、他の理由があるなら未読のまま返事しなくて大丈夫だよ。でももし、何か疲れていたり体調が悪かったりするなら、今とても心配してる」と送った。
ラインを入力しているあいだ私は、しんどい時に、相手の気持ちをあれこれ推し量ってより不安になり自分の身を守るためにする、(しんどいカテゴリーの中では短期的に一番楽な)人間関係の削除はやっぱり良いことではないなと感じていた。相手の気持ちは相手が決めるし、自分の気持ちは自分で決める。脳内で勝手に相手の気持を悪い方向に練り固めず、もし想像してしまっても相手に押し付ける行動化はしない。
分かっていても簡単ではないし、それができないことは私にもたくさんある。でも実際にされてみると、思った以上にダメージが大きいというか、すごく悲しい気分になるのだ。本当、気をつけようと思った。今回私が送ったラインは、個人的には「相手の気持を勝手に想像して押し付けた」というよりは、自分の気持ちを話して、返事するかは相手が決めるような内容にしたつもりなのだけど、これも普通に「全然違う推測をされた」と嫌な気持ちになるのかもしれない。
そんなことをぼんやり考えていたら1分も経たないうちに「少々お待ちを」という吹き出しのついた可愛いスタンプが送られてきた。ひとまず、一方通行な、期間限定友情の突然の終わりはなさそうだ。
ーーと、いう出来事が昨日あった。あれから1日半以上経っても、その人からの続きはない。彼女には彼女の事情があるのだろう。面倒くさくなったなら(それはまぁちょっと傷つくけど)しょうがないし、何かに参っていて、送るのが億劫なのかもしれない。
けれど、返信のとても遅いその人が、私の返信の遅さから関係の終了を申し出て、それで1日半連絡がないというのは、なんというか、びっくりした。その人にはその人の想いがあるという大前提に立ったうえで、私は気持ちが少し遠のいてしまった。もしかしたらあと3~4日後に、つづきが送られてくるのかもしれない。ただおそらくその頃には、期間限定の関係の終了の時期は少し早められているだろう。彼女ではなく私によって。ぶんぶんぶんと、自分の気持ちを放り投げられたような気持ちになったのだ。
人間が2人いると、それぞれ違った感覚や事情を抱えていて、一人ひとり異なる想いがある。コミュニケーションというと大げさだが、どんな関係性であれ、それぞれの気持ちを尊重し合うのが、私の好きな関係なのだ。きっと。
私は随分と久しぶりに、自分の座右の銘である、「世の中には色んな人がいる」を強く感じた。自分もその中の一人なのだと深く思った。