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エッセイ〜「トンネル」を抜ける

「長いトンネルを抜けると
そこは雪国だった。」

有名なフレーズです。

そう、川端康成の「雪国」の初めです。

おはようございます。

生活していると
「いつまで続くの?」と
言いたくなるような
苦難に見舞われる時があります。

まるで、出口の見えない
トンネルの中にいるようです。

ある師僧が
弟子たちと夜道を歩いていました。
その時、頼りにしていた行灯の火が
消えてしまったのです。

その時、師である僧が
「気づいたことを述べよ」と
弟子たちに「言葉」を求めました。
その時、一人の弟子の僧が言った言葉が
「脚下照顧」(きゃっかしょうこ)と言う
言葉でした。

暗い夜道で
照らしていた灯火が消えたからこそ
足元に注意する。
そんな意味です。

得てして
私たちは困難に直面して
苦衷の中にいると
自分の足元に注意を向けなく
なってしまうからです。

トンネルの中は暗闇です。
そこを乗り越えるのに
自分で歩いてゆくときは
「脚下照顧」
足元に注意することが大切だと
私も同感に思うのです。


先に紹介した小説家である
川端康成は日本で初めての
「ノーベル文学賞」を手にしました。

現在で言うと
大江健三郎氏
カズオ・イシグロ氏
などの方も同じ賞を得ています。

その川端康成が
ノーベル賞授賞式かで
スピーチをした時に
日本のある「歌」を紹介したのです。
それが、

春は花、夏ほととぎす
秋は月 冬雪さえて
冷(すす)しかりけり

この歌は
鎌倉時代に曹洞宗を開く
きっかけになった禅師である
道元禅師の作った歌です。

この「すすしかりけり」には
諸説あって
・ただ「寒い」のか?
・四季を通して過ごしやすいという意味なのか?
いろんな説を聞きました。

話はそれましたが
暗闇の中にいる時は
本当に辛いです。

それでも
本を読んだり
音楽を聴いたり
noteを書いたり
何かしらの行為をして
私たちは気を紛らわせます。

正に一歩一歩の足取りです。

一番正しいのは
地道に進むことですが
なかなか心が落ち着きません。

そんな時は
心理療法家のフランクルの
言葉が響いてきます。

「あなたが人生に意味を持ちつのではない。
人生があなたに意味を求めている」のだと・・・。

無理に自分の生き方に
意味を求めなくてもいいのかも
しれません。

穏やかな夜だからこそ
静かに自分と向かい合いたいと
思ってしまいます。

「昨日より一歩でも進めたかな〜」と
思ってしまいました。

おわり

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