【福祉note】『たかさんと私』#3 けん、ちょっとココ来てそこ座れ
その日は朝から事務所でパソコンの入力作業をしていました。
私が勤めている施設の事務所からは、送迎車が到着してご利用者さんが入ってくるのが分かる状態です。
しばらくすると玄関周辺がざわざわし始め、「たかさんが送迎車から降りる時にけがをした」という情報が耳に入りました。
たかさんの受診やご家族さんへの連絡などで一気に慌ただしくなっていく施設内。それに加えて、周囲の空気に人一倍敏感なご利用者さんへの対応、どんな状況でも待ってくれない日常の介護。誰一人冷静な人がいなかったことだけは鮮明に覚えています。
その時
私は動けませんでした。
何を考えていたのか、はっきり思い出せません。
ただ、1つ言えることは
「たかさんが怪我をした事実から、たとえ一瞬でも目を背けた」
ということです。
「たかさん、膝蓋骨骨折により入院。」
その一報が届いても、私は即座に行動を起こせませんでした。
ダメだ、書いてて心底情けない。
あの時の自分を呼び出して、まる半日説教したい。
けん、ちょっとココ来てそこ座れ。
一度は現実から目を背けてしまった私ですが、ある日からたかさんと急接近することになります。誰にも話したことのない、自宅での話をしていきましょう。
たかさんと私が奏でる【福祉の音】はまだまだ続きます。
いいなと思ったら応援しよう!
「マスター、向こうにいるじゃんけん弱そうな顔した客に一杯」くらいの軽いノリでサポートしてもらえたら嬉しいです🌈「福祉の本を買う(知的に充実)」「シュークリームを買う(精神的に充実)」など、より良い記事を書くために使わせていただきます🍀