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【福祉note】『たかさんと私』#30 決して嬉しくないファインプレー 前編

たかさんに、ついに「お風呂」のOKが出ました。

突然の入院から約1ヶ月半、体を拭いてもらうことはあったものの、ずっとお風呂に入れなかったたかさん。お母さんとバトンタッチする時に、大喜びしたのを覚えています。

怪我の具合や、途中で発症した化膿性膝関節炎の経過などを判断し、最初はシャワー浴からスタートしようという話になりました。

たかさんの入院している病院のお風呂は、いわゆる「特殊浴槽」で、ベッドから立ち上がることなく湯船に浸かることができます。

「おっす!」
当日、元気印のアラタさんが、もう1人のナースエイドさんと一緒に病室まで来てくれました。

「あなたはどうするの〜?」
手際よく移動の準備をしながら私にも声をかけてくれるアラタさん。
唐突なパスに戸惑いつつ、お風呂の様子を報告させてもらうため、私も浴室までご一緒することにしました。

たかさんも、不安とワクワクが入り交じったような表情で、「今からさっぱりするんだぜ、ブラザー」と語りかけてくれているようでした。


あの時ほど、「幸せ」と「安心」の間で葛藤したことはありません。浴室での出来事を、後編でお話しましょう。
たかさんと私が奏でる【福祉の音】はまだまだ続きます。


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けん
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