WordFesの作り方-その壱(特徴・会場編)
名古屋では、WordBench名古屋というWordPressユーザのコミュニティが中心となって、2010年以降イベントを毎年開催してきました。 2014年の今年は「WordFes Nagoya 2014」という名称で8月30日に開催されました。
2010年はWordCamp Nagoyaという名称で、2011年はWordBeach Nagoya、翌2012年もWordBeach Nagoyaという名称、そして2013年からはWordFes Nagoyaというように名前は変わってきていますが、これで5回開催したことになります。運営するスタッフ(実行委員)は、毎年顔ぶれは異なるものの、100~200名規模のイベントを5回開催したことによって、運営のノウハウも一定蓄積され定式化されてきた側面もあります。 幸い(?)、私が2010年からスタッフを続けていることもあり、一度ここで簡単にでも名古屋のWordPress関連のイベントの作り方(?)について、まとめてみようと思いました。それは来年もたぶん開催するイベントに向けて、新たにスタッフに加わってもらう人がイメージしやすくなるためにということと、他の地域コミュニティでイベントを開催するときの参考になればと思うからです。 名古屋は東京や関西のように、500名とか1000名を集めるような規模ではないので、地方で中規模なイベントを行うところの参考になればと思います。 ただイベントの華であり、核心はセッションを始めとする企画にあります。 その時々のトレンドも意識しながら、魅力あるセッションを作るのは大変な苦労が必要です。残念ながら私はセッション系のスタッフとして関わることが少なく、ずっと裏方寄りのスタッフだったので、このまとめも裏方寄りというか、実務バージョンになりますことを、あらかじめお断りしておきます。
●名古屋の特徴
名古屋のイベントが他地域のWordPress系イベントと大きく違うのは、宿泊というか合宿を行うことだと思います(2011年のWordBeach以降)。 通常はセッションがあり、懇親会があるというパターンだと思います。ですが名古屋は毎年約50人程度ではありますが、合宿をして夜通し飲んで語ってということをします。こういうイベントは他の地域には少ないため、毎年この宿泊を楽しみにしてくださる方も少なくありません。 宿泊の定員は約50名なので、全体の参加者は200名くらいが適切な規模のような気がします。これが500名とかになってしまうと、泊まれる人の比率が少なくなってしまい、宿泊者を増やそうと思うと毎年使っている宿泊施設では受け入れができなくなってしまいます。 参加者の数を増やさないようにしているわけではありませんが、名古屋の力量から言っても200名くらいが身の丈にあっているのかなと思います(2014年のWordFesの参加者が212名。5回の開催の中で初めて200名を超えました)。 また春に関西地方でWordCampが行われ、秋には東京でWordCampが開かれます。どちらも500人を超える大規模なイベントです。名古屋も同じような規模になってしまうと、大規模なイベントが連続することになってしまうので、夏のイベントは少し人数は少ないけど、深く熱く(暑く)交流できる、独自性の高いユニークなイベントであることにも意味や価値があるように思っています。
●会場
どんなイベントでも、会場の確保は課題です。安くて使いやすい会場は、半年前や1年前に押さえておかないといけないことが多いですが、そんなに早くから会場を押さえることは、なかなかできません。 名古屋ではいろんな会場を使ってきましたが、2014年は「これで決まり?」と思えるような、よい条件の会場を使うことができました。 ちなみに会場は一度調べたところとか、スタッフのみんなが「ここはどう?」って言ってきたところなどは、Googleスプレッドシートにまとめてあります。 今年の場合は4月のBench学習会の時の後半を実行委員会にしたとき、その場で複数の会場に電話して「8月の23日か30日空いてませんか?」って手分けして電話掛けしてもらいました。「だめでしたー!」とか「30日なら空いているそうです」とか報告してもらいました。一箇所、よさそうなところがあったので仮押さえとかもしました。そこは今年の会場となった名古屋工業大学の近くでした。どっちに転んでも懇親会会場の浩養園の近くだったので、どちらかにするということだけ決めて浩養園を押さえて後日下見に行きました。仮押さえしたところは会議室以外のエリアが狭く、受付とか置くのが難しそうだったのでやめて、名古屋工業大学に絞り込んでいきました。 だいたい会場が絞り込まれると有志で下見に行きます。 写真をバチバチとって、写真共有サービスをつかってスタッフで共有します。 特に気をつかうのは、電源の場所や数。ネット環境やプロジェクターやマイク、スクリーンは据え置きかどうかとかです。WiFiルータを各種持ち込んでつながるかどうかとかも確認します。 またスポンサーブースにする予定の部屋で、机の大きさや数を確かめ、いくつくらいのスポンサーブースがおけるかなどもチェックします。ブースの数を読み違えると、ブースの申込があっても出すスペースがなくなると一大事です。置ける数によって、ブースが出せるのはプラチナスポンサーだけにするか、ゴールドスポンサーも出せるようにするのかの判断が要ります。これは協賛金の集まり方にも影響するので、読み違えないようにしないといけません。 (セッション会場) 2010年は名古屋市立大学、2011年・2012年は宿泊施設が併設されている南浜荘の会議室、2013年が名駅から歩いて5分のトライデントコンピュータ専門学校、2014年が名古屋工業大学52号館でした。 南浜荘の会議室は120人くらいの規模ならなんとかなるのですが、それを超えると難しいという課題がありました。南浜荘が名古屋駅から電車で30分くらいかかるところにあり、最寄り駅は普通しか止まらないので、県外よりも県内の人に「遠い」と不評でした。 そこで2013年からはセッション会場を名古屋市内にして、宿泊施設まではバスで移動するスタイルになりました。2013年は幸いにもトライデントコンピュータ専門学校さんが無料で会場を貸して下さいました。大きさや交通の便からいうと、これ以上ない会場でした。しかし2014年は、学校のイベントなどが詰まっており使えず、違う場所を探して名古屋工業大学になりました。ちょうど、2014年のスタッフに名古屋工業大学の学生さんが2名いたことが幸運でした。名古屋工業大学は、利用料金がかかるものの一般の施設に比べたら格安でした。また他の公共施設などと違って、早く申し込まないと予約でいっぱいになるということもありません。大学ですから教室はいっぱいあります(笑)。 車の乗り入れとか、ちょっと面倒なこともありますが、会場となった52号館の広いエントランスも受付として自由に使っていいと言われましたし、大学の有線LANも使わせてもらえたので、Ustreamとかはとてもスムーズに行きました(事前に接続する機器のmacアドレスの提出は必要ですが)。基本的に「これはダメ」って言われることが少なく、学生スタッフが大学とのやりとりをしてくれたこともあって、とても使いやすい会場でした(蚊が多いことを除けば!)。後述する懇親会会場との関係でも、名古屋工業大学の場所はベストポジションにあり、来年のイベントの会場としても最有力候補だと思います。 (懇親会会場) 2010年のCampのときはホテルのパーティ会場を使いました。2011・2012年のBeachではセッション会場でもあり宿泊会場でもある南浜荘の会議室を会場にしました。料理や飲みものは南浜荘にあるレストランが用意してくれますので、そういう意味ではとても使い勝手がよかったです。飲んで騒いで、そのまま宿泊できるという点でもよい会場でした。 しかし2013年のFesでは、セッションを名古屋市内に移したこともあり参加者数は増えるので懇親会も100名規模にしました。100名入って、お手頃な値段の会場を探すのには苦労しました。トライデントコンピュータ専門学校近くのスポーツバーを見つけて、そこにしたんですが100名、しかも宿泊する人や遠方からきた人の大きな荷物もあって会場はキュウキュウでした。お料理はカウンターに取りにいくんですが量もすくなく、人がいっぱいで料理を取りにいけずに、ほとんど何も食べられなかったという人が続出しました。これは2013年のFesの大きな反省点でした。 宿泊する南浜荘まではバスで移動するのですが、バスが止まっているところまで誘導する中で、勝手に列を離れて迷子になってしまう人もいました。 そこで2014年のFesは、懇親会会場には細心の注意を払いました。名古屋にはサッポロビール直営の「浩養園」というビアホールがあります。ここは100名クラスの宴会などが複数あっても平気で入る大きな会場で、お値段もリーズナブルです。サッポロビール直営店でビールが美味しいのもよいっ!
しかも大人数の宴会を毎日受け付けており、お客さんが貸し切りバスで乗り付けて...というのも、あたりまえのように行われています。 最初からここを狙っていたのですが、なんと名古屋工業大学は、この浩養園と目と鼻の先にあるんです!歩いて5分くらい。しかも会場となった52号館は、お願いしたわけでもないのに、浩養園に一番近い場所にありました。お料理の質や量は大丈夫かということを確かめるために、スタッフは「ロケハン」の名の元に2回ほど懇親会をやって確かめ、全然大丈夫という結論を得ました。もうここしかありません。名古屋工業大学に会場を決める前に、速攻で予約しました。確か4月だったと思います。 バスもお店の前に横付けできるので、迷う人もなくスムーズに移動できました。 (宿泊施設) 宿泊施設は2011年のBeachから、ずっと南知多にある南浜荘という研修施設を借りています。ここは「一棟借り」という借り方があって、宿泊棟も研修棟もまるごと24時間借りていくらという借り方ができるのです。会議室をいつ何人で使っても、宿泊施設に何人泊まっても(もちろん定員内)、リーズナブルな価格で借りられます。 いろいろ他にも県内の研修施設を調べましたが、ここよりよい条件のところは、どこもありませんでした。
もう4回も使っているので、南浜荘の人も「ああ、ワードベンチさんね」と、すぐにわかってくれますし、話がすぐに通ります。2回目くらいまでは、チェックアウト時に全部の部屋を点検されましたが、去年からは鍵を渡せばそれでよくなりました。ちゃんと片付けて帰るところだと信頼してもらっているのかもしれません。 こちらも事前に提出するものは何なのか、当日はどういう手続が必要なのかなど熟知してきています。阿吽の呼吸で融通も効かせてもらっており、宿泊施設はこれで決まりだと思います。 ということで2014年のFesで、名古屋工業大学ー浩養園-南浜荘のゴールデントライアングルが確立しました。来年も特に問題がなければ、このゴールデントライアングルで行きたいと思ってはいます。 ちなみにバス移動の件ですが、スタッフの中にバス会社にお勤めの方がいて、バスの手配から運転までやってくださっています。これは偶然だったのですが、これもとても幸運なことです。 今回は、特徴・会場編でしたが、次回からは体制、運営、日程、受付、協賛などについて書いて行く予定です。
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