不安
翌朝、強烈な胸騒ぎで目が覚めた。
急いで飛び起き、婆さんに聞いた。
「じいちゃんはどうしたの?」と。
婆さんは応えた。
「釣りに行ったよ。」と。
前日の嫌な感覚は肥大し、明瞭にそこにあった。
私はさらに聞いた。
「自分で運転して行ったの?」と。
婆さんは応えた。
「私が送って行ったよ。」と。
婆さんは続けて言った。
「運転の心配ないから、今頃楽しく飲みながら釣りしてるんじゃない。」と。
前日の寒々しい確信は、熱い焦りに変わっていた。
その時にはもう、少しだけ遅れをとっていることにも気がついてしまった。
直後に電話が鳴った。
焦りは絶望に変わっていた。
もうそれだと。私の手遅れを告げてほしくなかった。