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モンゴルとゴビ砂漠⑨遊牧グルメ編 その三

内蔵

屠りたての山羊は小籠包の他に内蔵の塩茹でも食べた。
血液も無駄にせず料理に使う。屠殺シーンは見れなかったが伝統的な方法は腹部にナイフで切れ込みを入れ、そこから手を突っ込んで心臓付近まで延ばし人差し指と中指で太い血管をネジ切り、そして腹腔内に溜まった血液を切れ込みから容器に注ぐ、といった流れだ。

不確かだが血のソーセージのようだ

内蔵茹ではシンプルな味付けにも関わらず、濃厚で臭みが少なくこれまた唸る美味しさであった。
アルコールと一緒に食べたい。

資源の少ない土地で家畜を食べるとなると本当に無駄がない。内蔵や血液は当然の事ながら皮は毛皮になるし、骨も伝統的なボードゲームやアクセサリーなどに使われる。

ゲーム会場



至高の遊牧料理

今回の旅でクライマックスに相応しい料理となるのは「ホルホグ」だ。北京の空港で出会った男が教えてくれたそれだ(※序章参照)。
内容は遊牧料理らしく至ってシンプルで肉と野菜の蒸し焼きとなる。

骨付き山羊肉とじゃがいも

ゲル内にある熱くなった暖炉のようなものに石を焚べていく。燃料は乾燥した山羊の糞だ。

鉄鍋に材料を並べ、石が焼けるのを待つ

石が真っ赤に高熱を帯びると食材の入った鍋へ移す。

鉄鍋の他にもう一つ、山羊の胃袋も用意して同様に食材と焼き石を中に入れていった。

食材と焼き石が詰まった山羊の胃袋

鉄鍋の方は蓋をして放置していたが、胃袋の方は焼き石と食材を少しずつ足していきドライバーが餅つきの餅を扱うように手を動かしていた。

肉を足すところ
石を足すところ
揉み込みながら捏ねる



出来上がったのが以下だ。 



ホルホグ

腹を空かせた我々は待ってましたと手で掴んでかぶりついた。肉の美味さは小籠包で確認済みだ。石で蒸し焼きにされた肉は香ばしい香りを纏い噛むほどに食欲が増す。そして肉のエキスを存分に吸収したジャガイモの何と美味いことか。堪らない。



夢中に食べながらもふと気付いた。蒸し焼きに使った石は山羊の糞で熱せられたものだ。という事は肉の香ばしさは山羊の糞も一役買ってしまっている。
頭の中は一瞬その事でいっぱいになったが、どうにも手が止まらない。
圧倒的な美味さで考える事を止めた。
フン切りがついたのだ。

モンゴルへ行く機会があればぜひ食べて欲しい。

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