時空のはざまで真実を追求する少女 7
姉との別れる
三十歳になった姉に再婚の話があり、お嫁に行くことにりました。
結婚相手は親戚の人で母方の本家にあたり、十三代も続いている大きな農家の長男です。
その話が来た時、姉は「結婚しないで、洋裁をして生きていく」といいました。 しかし、私は姉に幸せになってもらいたくって心を鬼にして、姉を突き離すことにしました。
姉は自分に与えられたことを真面目にこなし、自分の置かれた場所を一生懸命守って生きていく人なので、この先、私と洋裁をして生きていくより、お嫁に行って先祖伝来の土地を守って生きて行くことが、姉の運命のような気がしました。
そのほうが、姉にとっても幸せだと思いお嫁に行かせることにしました。姉は私のこんな思い知らず泣いていました。 私の家は父が県庁に努めており、兼業農家でしたので、姉と私は小学校の頃から学校が休みの時はごく自然に農業の手伝いをしてきましたから、農業は当たり前のように、私たち姉妹に溶け込んでいました。
春になって雪が溶け大地が暖かくなると、家族で大地を耕し田植えをし、
肥料をやる。そして夏の炎天下、姉と二人で雑草を取り、広大な平野にすくすく伸びた稲の緑じゅうたんを眺め、生きていることの幸せを感じるのでした。やがて来る実りの秋-------金色の稲穂に風が吹けば、そこは黄金の海に変わります。
そんな大自然が、私たち姉妹をどれほど育んでくれたことでしょうか。
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