雑記。婚期とは不思議なもので。
2018年のNHK朝の連続テレビ小説「半分、青い」。
脚本家の北川悦吏子さんのオリジナル作品。
この作品の主人公はおたふく風邪で左耳が失聴した女性。
幼少期からアラフォーまでの物語である。
私には片耳難聴の子どもがいるので片耳難聴に関する情報はなるべく仕入れるようにしていた。子どもと共に、月いちで会ってもらっている聾学校の幼児クラスの先生に教えてもらったのがこの作品だった。
転職前の有給休暇でやろうと思っていたことの一つがこの「半分、青い」の一気見だった。
朝の連ドラと言えば15分で、それを半年かけて放映するから、全て一気に見ようとすると156話分で39時間分。最初にちょこっと入る前回のあらましとオープニングテーマを全て飛ばしても27時間くらいはかかる。それをここ2週間ほどで見た。
片耳難聴で困りそうなことが少女から大人の女性、そして母親へと成長する主人公を通して想像できるものだった。例えば、どこから呼びかけられているかわからない、騒がしい場所が苦手、耳で聞きながら別のことをするのが難しい、就職やお見合いでの困難さ、など。こうしてドラマで見ると、実際の生身の人間に会わなくてもイメージができるようになるから、「そういう人もいるんだな」と疑似体験できるし、片耳難聴の人が困りうることが広く知られると良いと思った。(必ずしも、同じ悩みを同じように抱えるわけでないのもまた、聴こえの難しいところだとも思うけれど)
Wikipediaを見ると北川悦吏子先生もまた左耳が聴こえないそうで、その体験がこうして作品になるというのも運命は不思議なものだと思う。当事者でいることで語れる言葉がある。
縁あって私も親子でお世話になった、片耳難聴の当事者であり言語聴覚士でもある岡野由実先生が、この作品に片耳難聴に関する表現の部分で携わったことをこれまた最近知った。岡野先生の著書もは片耳難聴について分かりやすく書かれてある。この本は長きに渡り私の愛読書になると思う。
https://www.amazon.co.jp/片耳難聴Q-聞こえ方は、いろいろ-岡野-由実/dp/4761408421
それで、この「半分、青い」は片耳難聴以外の見どころも豊富にある。
初恋、青春、家族、友情、LGBT、恋の三角関係、地方と都会、戦争、漫画家、映画監督、夢、闘病、寿命、結婚、子育て、離婚、お受験、震災、不登校、起業。
人生のどのフェーズにいてもどこかしら自分に重ねる部分がありそう。
恋愛の神様である北川先生の作品なので物語で一貫して流れるテーマはやっぱり恋!私も、主人公とその幼馴染みの動向が気になって気になってしょうがなかった。何度も何度もすれ違うふたり。そして最後は。。。ということで、結局、片耳難聴も気になりつつも主人公の恋の行方が気になりすぎて一回たりとも飛ばさずに次々と視聴してしまった。
そして自然と「婚期」について考える羽目になる。
あの日あの時あの場所できみに会えなかったら、から始まるあまりにも有名なラブソングが何度もドラマで流れるし、私の頭の中でもリピートされたからだった。
用があって独身時代からずっと使っているメールで昔のメールを検索したら恥ずかし過ぎる代物を見つけて絶句した。
それは、30歳の誕生日永遠にグッバイすることになった結婚相手候補とのやり取りだった。
この恋の終わり方が強烈過ぎて思い出は化石となった。
よってその時のことを考えたとて、どうにもときめきは蘇生しない。
でも、メールのやり取りを見るとこれはこれでおもしろかった。
私がまるでそれなりに健気で面白い人のように見えるし、彼はとても賢くて素敵な人のように見える(文章上)。
すごく腕のある文筆家がセリフを作って物語にしたら短編小説の一篇になるように思っちゃうくらい文量もあった。
その架空の物語である小説の中で自由に発想して、何がどのようになれば、この二人が結婚することになるか考えたらこれもまた面白い。現実としては何もどうにもならなかったけれど、だからこそ、妄想するのは面白い。
ちょっとしたすれ違い、ボタンのかけ違い、状況設定の移り変わりで結婚するかしないかは変わってしまうし、結婚したら普通はその人生を土台に続きの物語が進んでいく。婚期には魔物が棲んでいる、気がする。結婚は魔界への入り口か。
人それぞれに人生の物語があると感じた出来事だった。
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