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質問が生まれないルールメイキング

 今日も、考動クラスのメリットからお伝えします。

 それは、「時間の使い方がぶっちぎりで上手になる」ということです。ちょっとした時間を有効活用できる子に育ちます。
 テストが終わった後、授業が5分早く終わった後など、ほんのわずかな時間でも自分で考えて行動決定できるようになります。
 嘘じゃないです、本当です。

 では、前回の続きをお話しします。
 前回お話しした通り、生活に関する質問は、クラスで1日10個までというルールを設けると、2週間ほどで一気に質問は激減します。

 ですが、その間児童は厳選に厳選を重ねた質問をしてきます。

「先生、着替えって休み時間しかダメですよね?」
「先生、おかわり2回はズルいですよね?」
「先生、廊下に並んで移動しますか?」
「先生、ここは掃除した方がいいですか?」
「先生、テストが終わったら何をすればいいですか?」 …。

 これらの質問が生まれることは、当然想定済みです。大切なのは、「まだ教師に質問をしないとクラスが運営されないことを認識する」ということです。
 
 こういった質問が出たときこそ、ルールメイキングの大チャンスです。もちろん児童の主体性を信じて児童自身にルールを決めさせる実践もあると思いますが、私は始めに明確な線引きすることを大切にしているので、この時期のルールは私が主導で作ります。

 ルールメイキングのポイントは、「抽象的なルールを作ること」です。着替えを例に出します。

「着替えは、業間休みと昼休みしかダメです。5分休みは間に合わないので、ダメです。授業中も、うるさくなるのでダメです。」

 これだと、「どうしても着替えないといけないんですが、今着替えちゃだめですか?」、「課題が早く終わったので、着替えに行っていいですか?」という追加の質問が絶えません。理由は、ルールが具体すぎるからです。

 私のクラスでは、こうしています。

「授業、当番、委員会など、やらねばならないものが最優先。それらに影響がないなら、いつ着替えてもいいよ!」

 キーワードは、「考動できるためのものさしを与えること」です。その時々で、答えは与えません。

 考動するためには、必ず児童が思考するための余白が必要です。

 時折、「考動」というテーマを掲げ、「自分で考えなさい」という指示を出すのみ…というクラスを見かけるのですが、大切なのは児童が考動できる環境を教師が整えることです。

 ほかにも例を出すと…

「おかわりは、幸せな気持ちになる人が多くなるようにね!」

「廊下に並んで移動するメリットは何かな?全員が同じ時間に移動できることですね。これを踏まえて、並ぶかどうかをその都度考えてください!」

「掃除の目的は、汚れているところをきれいにすることと、きれいなところをきれいに保つことです。それを頭に入れながら掃除してみてください!」

「テストの後ですが、何かやってほしい課題があるときは指示を出しますが、それ以外は1人でできることなら何でもOKです。これは1年間変わりません。」

 といった感じです。

 「こういう時は、こうすべき!」という明確なルールがあればあるほど、一見質問は減るように思われますが、逆効果です。

 児童は、臨機応変に動きたい生き物だと思っています。

 考動クラスをつくるためには、ルールに児童がアレンジできる余白を残すことがマストです。

 ただ、その場で質問に答えたほうが互いに楽だし、ルールを細かく作っておいた方が予期せぬことが起こらないというメリットも、よくわかります…。

 本日もお読みいただき、ありがとうございました。

 次回は、「指示を出さないという指示」というお話をします。


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