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自学の宿題システム

 今、私は自由進度学習を行っています。教科は、理科です。
 
 最近授業中、「豊かな時間だなぁ…」と感じることが多くなってきました。
 
 児童はというと、グラウンドの砂場へ実験用の川を作りに行く、廊下で缶に入れた石をひたすら振って浸食実験をする、河川上流の滝の絵を描く、NHK for schoolを見て復習する、Canvaで1年生向けに解説動画を作る、未来の洪水対策マシーンをAIとともに考えるなど、活動も内容も児童によって様々です。
 
 きっかけは、1学期まで行なっていた一斉指導が実態に合っていないことをありありと感じたことです。急いで近隣で理科の自由進度を行っている先生のもとを訪れ、ノウハウを伝授してもらいました。
 
 そのおかげもあり、最近は授業中、一人一人の児童の表情をじっくり観察できるようにまでなりました。
 
 アドレスフリーで自分の好きを追究する児童を見ながら、「なんか豊かだなぁ~」と感じたわけです。
 
 
 さて、本日は、「自主学習のシステム」についてお話しします。私が胸を張って最も実践を積んでいると言えるのが、この自主学習です。
 
 略して‟自学“。私は事前に自学の目的を3つ伝えています。
 
①自立学習:自分の力で学びを進めていく力を養うこと。
②自律学習:自らを正しく律し、学びに向かう力を養うこと。
③自分学習:自分とはどういう人間なのかを、深く知ること。

 
 なかでも、③は特に力を入れています。
 自分が忍耐強くコツコツ勉強できる人間なのか、あきっぽくすぐに諦めてしまう人間なのか、それとも…。
 
 どれがいい悪いではなく、「自分という人間の特徴をこの年齢で知っておくこと」を重要視しています。いわゆる「メタ認知力」の向上を狙っているというわけです。
 
 また、自主学習は家庭の協力が不可欠です。「料理をしたい」「工作をしたい」「何をしていいか分からないから教えてほしい」など、自学は学校の見えないところで家庭の協力が必要となってきます。なので、これら自学の目的は、協力をお願いとともに必ず保護者の方ともシェアします。
 さらに、児童にもサンプルとなるメニューを渡します。
 このメニューは、過去の児童が実際に行なったものに年々加筆している「継ぎ足し式メニュー」です。
 
 ここでも、「放任ではなく考動できる環境を整えること」を意識しています。
 
 
 そして、自学を内容別に2つに分けます。
 
 ☆コツコツ自学:「苦手を普通に、不安を大丈夫に変えること」が目的の学習。
 ☆ワクワク自学:「好きをもっと好きに、楽しいをもっと楽しいに変えること」が目的の学習。

 
 一般的に、宿題とはコツコツ自学のような知的で忍耐的な学びこそ素晴らしい!という風潮があるように感じますが、私はこの2つに優劣は一切つけません。
 なぜなら、好きを極めることも学びの醍醐味だからです。
 韓流アイドルが好きだから韓国語を勉強する、手品が好きだからいろいろな種明かし動画を見る…。大人も似たような学びをしています。
 
 ただし、私が最も口うるさく言うのは、「2つの量と時期のバランス」です。漢字が苦手なのにそれを見て見ぬふりしてテスト前になってもずっと好きなサッカー選手のことばかり調べている子には、わりとはっきり指導をします。もちろん最初は見守りますが…。
 
 また、毎日息が詰まるほど計算練習をしている児童には、「今日は算数お休みして大丈夫だから、好きなものについて調べてリフレッシュしておいで!」と声をかけます。
 
 大切なのは、2つの量と時期のバランスです。このバランス感覚を養うためには、自分を客観的に見つめ、今の自分に必要な学びを考える力が欠かせません。
 
 自学については、まだまだご紹介したいことが山ほどあるのですが、テーマから逸れてしまうのでまたどこかでまとめたいと思います。
 
 本日もお読みいただき、ありがとうございました。次回は、「トラブルを解決してあげない」というテーマでお話していきます。

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