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トラブルを解決してあげない

 運動会の時期が近づいてきました。今年度は専科のため、運動会への関わりは例年に比べて薄く感じます。
 
 来年度担任をしたら絶対にやりたいことがあります。それは、‟児童の手でつくる表現運動“です。
 教師が決まりきったダンスを提示し、それどおり躍らせる。
 やる気がない児童に「やる気を出せ!」と叱る場面。
 やらされ感MAXの児童に「自分から表現しろ!」と叱る場面。

 特に高学年で散見されますが、もしかしたら児童が表現運動そのものを生み出す手法にシフトチェンジしたら、この運動会シーズンの悪しき風物詩もなくなるかもしれません。
 運動会の準備は、およそ1ヵ月前からスタートします。
 これを、1学期のうちから実行委員が動き始め、テーマ曲から構成、振り付け、隊形移動、手本動画の用意に至るまで全てを決定していく。
 教師は、それらのアイディアを交通整理してあげ、形にしていく。
 
 子供が内発的にやりたいと感じることは、子供が最も知っています。
 今はまだ机上の空論ですが、来年度ぜひ実現させます。
 
 
 今日は、「トラブルを解決してあげない」という話をしていきます。
 
 皆さんは、児童間でトラブルがあった場合、どのような対処をするでしょうか。
 もちろん、いじめにつながるような重大トラブルは、即その場で指導です。
 しかし、学校生活を送っていると、9割がちょっとしたトラブルや勘違いです。

「先生、○○さんが私にわざとぶつかってきました。」
「先生、○○さんが最後にボールを使っていたのに、片付けませんでした。」
「先生、○○さんに悪口言われました。」
 これらは、私の判断だと全てちょっとしたトラブルです。
 
 起こったトラブル全てに教師が一から介入し、間を取り持ち、解決してあげるということを、私はやっていません。なぜなら、「何か起きたら先生が解決してくれる」という思考ができあがってしまうからです。
 ベストはトラブルが発生しないことですから、その後のトラブルゼロを目指して自治力を向上させる指導を選ぶ必要があります。
 
 以下、私が考動クラスをつくるために行っているトラブル対処術です。

①トラブルの概要を聞いて、教師が介入すべきかしなくても大丈夫か判断する。
②介入すべきと判断した場合は、当事者を呼び、ヒアリングした後に必要な指導をする。
③介入が必要ないと判断した場合は、当事者の様子を観察する。
④当事者が興奮している場合は、私の近くに据え置く。落ち着いている場合は、廊下等静かな場所に移動する。
「今回の件について、お互いが納得したら先生を呼んでください。話し合う時のポイントはキャッチボール。自分の言いたいことばかりぶつけるドッジボールは絶対にさけること。相手の言っていることを、一度受け止めてから自分のことを話してね。」と伝える。その後、どちらも児童だけ残して教師は距離をとり、遠くから見守る。
⑥教師に報告しにきたところで、2つの質問をする。
 「何があったか、何を話したかを先生に教えてください。」
 「お互いに、心のモヤモヤはもうないですか?」

 ⑥でトラブルの全容を把握し、互いの心に納得感が生じた場合は、「OK!」と終わりにします。教師からの最後の指導もなしです。
 
 これを機に、児童は「ちょっとしたトラブルなら、自分たちで解決できるんだ」ということ、「冷静に相手の話に耳を傾ければ、トラブルを未然に防ぐことができるんだ」ということを学んでいきます。
 
 注意事項は、1つ。
 児童やトラブルの内容によっては、「先生助けて」というヘルプサインを出してくることもあります。
 その時にこの手法をとってしまうと、教師の信頼を落とす可能性もあります。なので、その判断を見誤らないようにする必要があります。

 そのために大切なのは、「児童一人ひとりの‟普通“を頭に刷り込んでおくこと」です。
 普通の状態を常に観察して頭に刷り込んでおくと、普通ではない困り感をもっている時に異常センサーがピピっと働きます。
 なので、日頃から児童の何気ない様子、いつもの様子をよーく観察しておくことをお勧めします。
 
 ちなみに、児童は意外と自分の力で解決できます。「うちのクラスでは無理…」と思われる方も、教師がワンクッション入ってから話し合いさせることで解決できることを実感してもらえると思います。

 解決の場は教師が作るため結局解決させるのは教師なのですが、児童に「自分たちの力で解決できた!」と思ってもらうことこそ、その後の学級経営に大きなプラスを生みます。 


 本日もお読みいただき、ありがとうございました。次回は、「テスト後の残り時間の使い方」というお話をします。

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