見出し画像

失敗を先回りして取り除かない

 今日は、職場の先輩から聞いた学級経営イメージのご紹介から始めます。初めて聞いた時、とても腑に落ちたことを覚えています。

 「学級を経営する上で、莫大な効果をもたらす大きな手段というのは存在しない。いくつもの小さな手段を講じることで、その効果の面積を増やしていくことでいつしか安定してくる。」

 その通りだと思います。何気ない会話、ちょっとした声かけ、小さなクラス企画…。1つ1つの効果の範囲は小さいかもしれませんが、日々私たちはそれらを増やそうと必死にクラスを経営しています。

 私が発信し始めたノウハウも、特別目新しいことでもなければ、今すぐクラスを激変させるくらいの大きな効果もありません。

 「考動できる児童を育てる」という信念を貫き、子供たちを信じ、本気で関わり続けた先で、いつしか出来上がるものだと思います。


 今回は、「失敗を先回りして取り除かない」という話をします。今日は、実際に私が4月中旬の学級通信で保護者の方あてに送ったメッセージをそのまま載せます。

 私の友人から聞いた話です。その友人には、5歳になる娘さんがいます。ある雨の日、出かけるために靴を履こうとしてたところ、娘さんが誕生日プレゼントで買ってもらった新しい靴を履きたいと言ってきたそうです。悩んだ末、その友人はそのほかの靴(もちろん長靴も)を全て玄関先に出し、「好きな靴を選んで履いてね!」と言ったそうです。
 当然、娘さんは新しい靴を選んでルンルンでおでかけへ行きます。ですが、帰ってきて玄関で靴を脱ごうとしたときに、数時間前までピカピカだった新品の靴が、泥だらけになっていることに気付いたそうです。その靴を眺めている娘さん。
 そこで友人が一言。
「靴、どろどろになっちゃったね。雨の日の靴って、どれが一番いいのかな??」
 娘さんは、玄関に並べられていた長靴を指さして、
「ながぐつ!!」
 と、大きな声で答えたそうです。


 大人が本気を出せば、子供たちの失敗は限りなくゼロに近づけることができます。それは、クラスでも同じです。

 当然、命や安全に関わる失敗は、先回りして防ぐ義務が大人にはあります。ですが、小さな失敗、取り返すことができる失敗であれば、あえて口を出さずに見守り、経験から学ばせることも大切です。

 先の話で、友人が「雨だから、きれいな靴が泥だらけになってしまうよ。雨の日は長靴を履かないといけないよ。」と声をかけても何ら問題はないのかもしれません。ですが、きっとあのように声をかけられた娘さんは、雨の日のシャツやズボンまで考えることができるようになったでしょうし、カッパがいいのか、傘がいいのか、はたまた出かけない方がいいのかまで考えられるようになったのではないかと思います。

 成功の果実は、失敗の果実と比べればとっても美味しいです。ですが、失敗の果実にはその後の成長を促すための栄養がびっしり詰まっています。

 ぜひ、学校とご家庭が同じ方向を向いてお子さんを育てていきたいと思っております。ご協力をお願いいたします。

 1年間クラスを終えた後で、児童に「先生の口ぐせって何??」と聞くと、十中八九、

「任せる!」

 と答えてくれます。「そんなこと、聞くまでもないでしょ」みたいな笑いとともに…。

 考動クラスを経営するために大切なマインドの1つが、「教師が一番すごい」という思考を心から捨て去ることです。

 大人が「これは失敗するだろうな…」と見ていたことでも、結局成功した!という例を探すのは、さほど難しいことではありません。

 失敗したときは、その後のフォローを全力でしてあげればいいのであって、それが教師にしかできない務めだと思っています。

 本日もお読みいただき、ありがとうございました。次回は、「2種の質問間でギャップを生み出す」というお話をします。



いいなと思ったら応援しよう!