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【エッセイ】立候補した! 責任

生徒会選挙は、年2回行われる。
落選した半年後、私はまた候補に推薦された。
二度と、前回のような想いはしたくない。
同時に、落選するのが怖いから逃げたと思われたくないと
いう気持ちもあった。
結局、再度、立候補することになった。

ただし、生徒会長さんは、すでに引退。
最大のモチベーションを失った私は、やる気がない。
前回のように立会演説会の原稿を考えるのも、めんどくさい。
結局、生徒会規約を全条、暗誦した。
いわば、コピペ。
時代の先端を行っていたわけだ。

当選したけど、やる気はない。
やる気はなくても、責任は課せられる。
生徒総会で発表する議題を考えないといけないのだ。
これも、コピペですませた。

先輩生徒会で否決され続けていた議題を、そのまま発表した。
男子の長髪許可、女子の夏制帽のデザインをカッコよくする、
ついでに、女子夏服の一部を変える。
3つとも、普段から、生徒は皆口にし、望んでいたものだ。

それなのに、生徒総会で、誰も賛成しない。
議題の説明をしていると、教師が大声で怒鳴った。
「君たちは、勉強するのが本文だ! オシャレなんかまだ早い!!」
そのとたんに、もりあがっていた生徒総会は静まり返った。
結局、賛成は3名だけ。
生徒会役員だって13名いるのに、3名だけ。いずれも、女子。
この裏切り者めが!!

私の中学時代は、学生運動がまだ残っていた。
学校も、学生運動にかぶれているのではないかと警戒していたんだ
と思う。
私たち賛成した3人は、立たされたり、座らされたり、ときには殴られたりもした。
それでも議題は、すべて可決された。

今にして思うんだけど、誤解がとけたんだと思う。
途中で様相が急変したんだよね。
「お前、今度の委員会でこう言え、ああ言え」とアドバイスしてくれる
ようになった。
最大の難敵、教職員への根回しもやってくれたんだと思う。
可決した生徒総会では、生徒も教師もとくに反対はなかった。

それはそれでよかったんだけど、大衆は裏切ることを知った。





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