【神(髪)は、死んだ。】脱毛症になった話。その④
治療に専念するため、皮膚科で強い薬の処方を開始した。あえて頭皮にかぶれを起こし、免疫機能を正常に戻すという治療法だ。
強い副作用で猛烈な痒みが出て、スキンヘッドは真っ赤に腫れ上がり、ゆでダコのようになった。
中途半端に生えてくる髪は雑草みたいだったけど、少しだけ、前よりも増えている。
「100%治るとは、言い切れない」と、最初に明言されたから、過剰な期待はせずに済んだ。頭を掻きむしること、約2ヶ月。短いが、整えられる程の量の、髪が戻った。
約4ヶ月ぶりの美容室。襟足を刈り上げると、まだ小さなハゲがある。いっそ地肌に近い色に染めてみては?と、人生初の、金髪の提案だった。
休職中の戯れで、金髪にしてみた。
オラつきすぎかな?と、はじめは困惑した金髪だったけど、すぐにとても気に入った。久しぶりに帽子を外してショッピングモールを闊歩し、鏡に映る自分を、何度も、何度も、確認して、嬉しくて堪らなかった。髪の毛は、ここまで人の気分を左右させるものなのか。
しばらくの金髪遊戯は、今の自分を見つめ直すきっかけを与えてくれた。アイデンティティは、自信に満ちて胸を張れる自分の上にこそ、成り立つものだ。その形成の一端を担う、美容師さんという職業に、心からの感謝と敬意を表したい。
脱毛症に苦しむ人たちの心の痛みを、なるべく鮮明に描写できれば…と思い、思い出を振り返ってみた。髪が抜けていくことで、恐怖と孤独に苛まれてしまうことを、多くの人たちに理解して貰えたら、と思う。
理髪師さん、美容師さんへ。
頭の薄い人のカットは難しいかもしれないけど、どうか己のカット技術の全力を尽くして、飛び切りカッコよく仕上げてほしい。誰しも、「カッコいい自分でいたい」という気持ちは、捨てられない。髪を剃り上げても、常人は解脱できない。
今まさに脱毛症に苦しむ人たちへ。
あらゆる治療法を試して、髪が元通りになることを諦めないでほしい。脱毛症は医療保険が適用されるから、腕の良い皮膚科医さんへ行くのが個人的にはおすすめだ。
焦る気持ちは痛いほどわかるが、慌てて大金を手放す前に、くれぐれもご一考願いたい。
時間もかかるし、不安な毎日が続くかもしれない。けど、無理せず、少しずつ治していこう。
そして一度、ゆっくり休もう。
この記事が、ツラい気持ちを乗り越える一助になれば幸いだ。
最後に、
苦心しながらも自分を支えようとそばに居続けてくれた、同僚、友人、家族、美容師さん、お医者様たちへの、感謝の念を忘れぬよう、備忘録として、ここに記したいと思います。
同じく脱毛症に苦しんだ人たち、今苦しんでいる人たち、良ければコメントしていってくださいね。
最後まで読んでくださった方も、思うところや考えたことを、コメントして頂けたら嬉しいです。