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迷宮入りな話

“What’s said is said.”
(言ったことは取り返せない。)

『ラビリンス 魔王の迷宮』というお気に入りの映画の一節。この映画は、空想好きなサラという主人公が、魔王ジャレスに連れ去られた弟を取り返すべく、13時間のタイムリミットの中で、多様なクリーチャーの住む迷宮世界、ラビリンスを冒険するお話。

“I wish the goblins would come and take you away.”
(弟なんてゴブリンに連れ去られたらいいのに。)

サラは、腹違いの弟の子守りにうんざりして、こんなお願いをする。すると、本当に魔王が現れて弟が連れ去られてしまう。現れた魔王と消えた弟に驚きながら、サラは、本気じゃなかったの、と嘆願する。

サラ: “I want my brother back if it’s all the same.”
(お願いだから、弟を返して。)
魔王: “What’s said is said.”
(もう後戻りはできない。)
サラ: “But I didn’t mean it.”
(でも、本気じゃなかったの。)

だいぶ前に観たはずなのに、印象が強かった映画。
言霊って大事だな、なんて思ったりした。

僕は、言葉には不思議な力があると半ば本気で信じている。何気ない一言に励まされたり、或いは、否定的な発言が失敗を呼び寄せたり。そういう数多くの経験を思い出しては、言葉が人や状況、運命をもコントロールする力を実感する。

或いは、言葉は自分自身の感情や思考すら支配するとも思う。複雑な感情や、まとまらない思考を一旦言葉に落とし込んでしまうと、その言葉の磁力からはなかなか抜け出せない。曖昧な考えを言語化しようと思ったのに、逆に、言葉の側から、考え方が方向づけられてしまう、という返り討ちに遭うことは何度もある。

言葉とは、単なる空気の振動や文字の羅列ではない。その本質は、強い支配力だ。
だからこそ、もっと美しい言葉を知るべきなんだと思う。

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いまバンクーバーは5ヶ月目。

何週間か前に中華料理屋さんでアルバイトを始めた。そこそこ忙しいんだけど、なんでも経験だということにしている。

そういえば、中学生のときに受けた英検のライティングで、「学生は、積極的にアルバイトをするべきだ。」みたいな主張をつらつらと繰り出していたのを思い出す。生意気だな、と今では思う。

あと、「今日はあんまり忙しくないね。」と話した途端、お客さんが舞い込んでくる、という飲食店あるある。これも、もしかしたら『言霊』なんですかね。

『ラビリンス 魔王の迷宮』
かなり好きな映画。出来たてのカップケーキくらい。

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