落書きのような文章
タランティーノの映画といえば、暴力の描写が印象的だろう。とにかく人が殴られて、殺される。過度なほどの暴力。しかしその一方で、タッチはまるで軽快だ。目の前の暴力など意に介さない。
何もかもすっかり笑い飛ばす、エンターテイメント性のある暴力。
その最たる例が『パルプ・フィクション』。拳銃を構えた黒服の2人組の殺し屋、腕に健全なボクサー、映画のアイコンたるミア・ウォレス。
映画のタイトルであるPulp Fictionとは、映画の冒頭でも説明されるように「くだらない作り話」だ。何が起ころうが、所詮くだらない作り話なのだから、と。過度な暴力とはPulp Fictionにおいてこそ許され、笑い飛ばされる。
では、いま現に生きる世界はなんだろう。Pulp Fiction(くだらない作り話)ではないのなら、Serious Reality(真面目な現実)とでも言うべきか。
現実は、映画とは違って、暴力は許されないし、人は傷付けられないのだから。
いや、本当にそうだっけ。
ニュースを目にしていると、あるいはSNSを見漁っていると、色々な人やグループの対立を見る。至る所で起こる、多様な形をした暴力や攻撃を目にしては、本当に嫌な気持ちになる。
悠々とモラトリアムを謳歌している身分で、社会を斬るつもりはないが、ふと人間の残虐性が垣間見えるときには、「世界は美しくなんかないんだ」と悪態をつきたくなってしまう。
或いは、これは、Serious Reality(真面目な現実)なんかではなく、Serious Reality(笑えない現実)なんだと気付く、と言い換えてもいい。
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カナダに到着してからもう1か月半くらい。
バンクーバーは、いい街だなと思う。「笑えない現実」と言えば、ドラッグ問題とインフレくらい。かなり過ごしやすい街。
今のところ、毎日が忙しい。大学生活では怠惰を極めていて、こんなに忙しなく活動をしたことがなかったので、びっくり。
忙しすぎて、何にかについてじっくりと考える時間がない。
これは、まずい。
いつか解決しよう。いつか。今はちょっと忙しい。
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