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AI小説「メニエールの蝶」

【メニエールの蝶】プロローグ


めまいと耳鳴りの螺旋の中で、
彼女は絵筆を取った_。

現実では
立っていることすら困難な日々…

でも、バーチャルの世界では
蝶のように自由に羽ばたける。

メニエール病を患う美術家
七瀬 陽花(はるか)は、
VR空間でアートセラピスト
として活動を始める。

揺れる世界で彼女が描く
一枚一枚の絵が、同じように
苦しむ人々の心を癒していく。

やがて出会った一人の
少女との交流が、
陽花自身の魂も解き放っていく

「たとえ世界が回り続けても、
    私には描ける色がある_ 」

―――


第1部「揺らぐ光の中で」



また世界が回り始めた_。

朝の光が窓辺から差し込んでくる中
私は布団の上で身体を丸めていた。

天井が緩やかに渦を巻き、
部屋全体がゆっくりと傾いていく。

右耳の中で、潮騒のような
耳鳴りが鳴り響いている。

「大夫、これも波のようなもの...」

自分に言い聞かせるように呟く。


メニエール病と
診断されてから、もう2年が経つ。

あの日、画廊での個展の
最中に突然の回転性めまいに襲われ
そのまま救急搬送されたことは、
今でも鮮明に覚えている…

スマートグラスに、
月岡さんからの
メッセージが届いていた。

「今日のセラピーセッション、
  体調が悪ければ
  キャンセルしても構いませんよ」

優しい言葉に、少しだけ心が和む。

でも、今日はキャンセル
するわけにはいかない。

篠宮(しのみや)さんとの大切な
セッションが入っているから。

ゆっくりと身体を起こし、
深呼吸を繰り返す…

めまいは相変わらずだけど、
これくらいなら、
VR空間での活動には支障がない。

それが、私にとっての
せめてもの救いだった。

スマートグラスを装着し、
「蝶の庭」へとログインする。

ここは私の個人アトリエ。
現実では叶わない、自由な空間だ。

天井まで届きそうな
大きな窓からは、
いつも柔らかな光が差し込んでいる。

壁には私の描いた水彩画が並び、
床には蝶の形をしたクッションが
散りばめられている。

「ようこそ、篠宮さん」

予定時刻通り、
彼女のアバターが現れた。

現実の世界では不安に
苛まれている彼女も、
ここではいつも少し
リラックスした表情を見せる。

「七瀬先生...今日は
新しい絵を描いてみたんです」

彼女が差し出した絵には、
モノクロームの世界に
一輪の赤い花が咲いていた。

その赤は、まるで彼女の
心の叫びのように鮮やかだった。

「この赤い色が、とても印象的ですね」

私は静かに問いかける。

アートセラピーでは、
絵の上手下手は関係ない。

大切なのは、その人の心が
何を表現しようとしているのか…

それを一緒に見つけていくことだ。

「はい...最近、
少しずつですが、世界に
色が見えてきたような気がして...」

彼女の言葉に、
私は自分のことを重ねていた…。

私自身、メニエールと
診断された当初は、世界から
全ての色が失われたように感じた…

でも、このバーチャル空間で
絵を描き、人々と関わる中で、
少しずつ新しい色を
見つけることができた。

セッションの終わりに、
いつものように私たちは
庭に模した空間へと移動する。

そこでは、プログラムされた
蝶たちが、ゆっくりと舞っている。

揺れる世界の中でも、
この蝶たちは決して落ちることなく
美しい軌跡を描いていく。

「不思議ですね」篠宮さんが呟く。

「先生の作る空間にいると、
自分の中の何かが、少しずつ
解きほぐされていくような...」

私は微笑む。そう、
芸術には人の心を癒す力がある。

たとえ現実の世界で
立っていることが困難でも、
この空間では、
私は自由に羽ばたける蝶になれる…

そして、それは私だけじゃない。

ここに来る誰もが、自分だけの
翼を広げることができるのだ。

めまいの波は、
まだ私の中で渦を巻いている。

でも、それは
以前ほど私を怯えさせない。

なぜなら今の私には、
揺らぐ光の中でも、確かな色を
描く術を知っているから_

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―――

第2部「デジタルの翼」





「あのね、七瀬先生。今日は
特別なものを持ってきたんです」

篠宮さんの声が弾んでいる。

彼女のアバターが手にしているのは
光を放つような青い蝶の絵だった。

先月から彼女は、徐々に色を
使い始め、今では自分の感情を
色彩で表現することを
楽しめるようになっていた。

「この蝶は...私なの」

彼女の言葉に、私は静かにうなずく。

青い羽には細かな
ひびが入っているけれど、
それでも力強く羽ばたこうと
している姿が印象的だった。

傷つきながらも前に進もうとする
意志が、確かにそこにある…。

その時、突然の
激しいめまいが襲ってきた…!

VR空間でも、現実の
体調は反映されてしまう…

視界が歪み、
アトリエ全体が大きく揺れ始める。

「先生...?!」

篠宮さんの声が遠のいていく…。

私はとっさに
ログアウトボタンを押した。

現実世界に戻った途端、
吐き気と共に冷や汗が噴き出す。

救急のアラートが鳴り、
すぐに月岡さんからの着信が入った。

「七瀬さん、大丈夫ですか?!」

「はい...少し休ませてください…」

声を振りしぼって返事をする。

画面越しの月岡さんの表情には、
心配の色が濃くにじんでいた。

「無理は禁物ですよ。
セッションは私が代わりに...」

「いいえ…」

私は弱々しくも、はっきりと告げた。

「篠宮さんとの約束があるんです。
   少し休んだら、必ず戻ります」

月岡さんは一瞬、
ためらいが見えたが、
やがて優しく微笑んだ。

「分かりました。でも、
   無理だけはしないでください」

通話を切り、私はベッドに横たわる。

右耳の耳鳴りが、
まるで嘲笑うように響いている…。

でも、今の私には篠宮さんの青い蝶が
光のように心の中で輝いていた。

彼女は今日、初めて自分を蝶に重ねた。

それは大きな一歩だ。

この瞬間に、私は彼女の
そばにいなければならない。

たとえ世界が回り続けても_。

一時間後、私は再びログインした。
めまいは収まっていないが、
制御できるレベルにはなっていた。

「お待たせしました、篠宮さん」

「先生…!大丈夫…だったんですか?」

心配そうな
彼女の声に、私は静かにうなずく。

「ええ。それより、
その青い蝶のお話を、
もっと聞かせてくれませんか?」

アトリエの中で、プログラムされた
蝶たちが静かに舞い始める。

その光の軌跡は、
揺れる視界の中でも、
確かな希望の道標のように見えた。

私たちは今日も、
デジタルの翼で空を舞う。

現実では立てないとしても、
ここなら…。

この光の庭なら、
誰もが自由に羽ばたける。

それを、私は
身をもって知っているから…

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―――

第3部「光の境界線」



梅雨の季節が深まっていく中、
私の「蝶の庭」に異変が起きていた

「七瀬さん、新しい
NFTコレクションの話があるんです」

月岡さんが持ってきた企画書には、
私のアートセラピー空間をもとにした
大規模なバーチャルミュージアムの
構想が記されていた。

篠宮さんを含む、これまでの
クライアントたちの作品を、
彼らの同意のもとで
デジタルアート作品(NFT)として
展示する計画だという。

「でも、私には...」

言葉を濁す私の様子に、
月岡さんは優しく微笑んだ。

「七瀬さんの作り上げた空間は、
確実に人々の心を癒やしています。
それを広げることは、
きっと意味のあることだと思うんです」
﹍﹍

その日の夜、
久しぶりに激しい発作が襲った。

救急搬送された病院で、主治医の
村田先生は心配そうな表情を見せる。

「あせらずに、しばらくは安静に…」

白い病室の天井を
見つめながら、私は考え続けた…。

月岡さんの提案は、
私にとって大きな挑戦になる。

今の体調で、本当に
やり遂げられるのだろうか…

そんな時、病室のタブレットに
篠宮さんからメッセージが届いた。

添付されていた画像には、
鮮やかな色彩で描かれた蝶の群れ。

そして一言。

「先生の『蝶の庭』で、
私は飛べるようになりました!」

目頭が熱くなる…。

画面の向こうで、彼女の
蝶たちが力強く羽ばたいていた。

かつての私のように
立ち尽くすのではなく、
今を生きる証として、
色鮮やかな軌跡を描いている。

スマートグラスを装着し、
病室からバーチャル空間へ
アクセスする。

「蝶の庭」には、
すでに篠宮さんが待っていた。

「先生、新しい
空間の計画、聞きました」

「ええ...でも、
私には荷が重いかもしれない…」

「そんな事… ないです…!」

彼女は強い口調で言う。

「先生の庭は、私たちにとって
希望の場所なんです。もっと
多くの人に、この光を届けてほしい…!」

その瞬間、不思議な感覚に包まれた。

現実の病室で横たわる身体は
相変わらず揺れているのに
心の中では何かが静かに、
しかし確実に動き始めていた。

めまいは、私から飛ぶ自由を奪った。

でも、このデジタルの翼は、
新しい可能性を与えてくれたのだ。

そして今、その翼は
私だけのものではなくなっている。

「分かりました…!」

私は決意を告げた。

「みんなで、
新しい空間を作りましょう」

アトリエに浮かぶ無数の蝶が、
まるで私たちの決意を
祝福するかのように、
きらめく光の軌跡を描き始めた。

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―――

第4部「虹色の軌跡」



プロジェクト開始から3ヶ月。

「Metamorphosis Museum」
(メトロポリス・ミュージアム)の
オープンまで、あと1週間となっていた。

「本当に素晴らしい
   空間になりましたね」

VR空間でのアートギャラリー
運営者である、月岡さんの
アバターが完成間近の巨大な
バーチャルミュージアムを見上げている。

クリスタルのような
透明な建物の中で、
来場者のアバターたちが
ベータテストに参加していた。

私たちの「蝶の庭」は、
ミュージアムの中心に据えられていて

そこから放射状に広がる
7つのギャラリーには、
セラピーを受けた人々の作品が、
デジタルアートとして展示されている。

「七瀬先生、見てください!」

篠宮さんが駆け寄ってきた。

彼女の作品を中心とした
NFTコレクション
「Healing Wings」
(ヒーリング・ウィングス)の第一弾が、
オープン前から話題を呼んでいるという。

「私たちの羽が、
誰かの希望になるなんて...」

彼女の声が震えている。

その瞬間、現実世界での
めまいが再び激しくなった。
でも今回は、私は逃げなかった。

「大丈夫…!」

意識を保ちながら、静かに告げる。

「これが私の...私たちの現実だから」

めまいと共に生きること。

それは決して
消えない波のようなもの。

でも、その波に乗りながら、
確かに前に進むことはできる。

このミュージアムは、その証だ。

オープン前夜、私は一人で
ミュージアムに、たたずんでいた。

天井から降り注ぐ
バーチャルの月明かりが、
展示された
作品たちを優しく照らしている。

そこには、不安や孤独と
向き合いながら、それでも
色を探し続けた人々の物語があった。

黒と白しか見えなかった世界に、
少しずつ色を取り戻していった記録。

私は自分のアトリエに戻り、
新しいキャンバスを開く。

描き始めたのは、
月明かりの中で舞う一羽の蝶。

その羽には、私がこれまで
出会ってきた全ての
人々の色が溶け込んでいる。

「先生…」

背後から、懐かしい声がした。

振り返ると、初めて
セラピーに来た時の篠宮さんの
アバターが立っていた。

「あの日の私は、
自分の殻に閉じこもることしか
できませんでした。
でも先生は、その殻を窓に変えてくれた」

彼女は静かに続けた…

「明日から、もっと
多くの人がその窓を見つけられる」

私はうなずきながら、
キャンバスに最後の一筆を加えた。

描かれた蝶は、
もう一人では飛んでいない。

無数の光の粒子となって、
大きな虹を作り出している。

めまいは、いつも私の中にある…

でも今は、それも私という
存在の一部として受け入れられている。

なぜなら、この揺れ動く
世界の中で、確かな希望の色を
見つけることができたから。

「さあ、明日からは
新しい物語の始まりですね!」

月明かりの中で、
私たちの蝶たちは、
これからも飛び続ける。

―――

4/4 エピローグへ >>

―――

エピローグ「新しい朝」



「Metamorphosis Museum」
(メトロポリス・ミュージアム)が
オープンして半年が経った冬の朝。

窓から差し込む光が、
私の部屋を優しく照らしていた。

スマートグラスに次々と届く通知。

世界中から訪れる人々が、
自分たちの物語を
「蝶の庭」に重ねている。

めまいと共に生きる人、
不安と向き合う人、
様々な理由で現実の世界に
居場所を見出せない人々が、
このバーチャル空間で羽を休めていく

「七瀬先生、おはようございます!」

いつものように、
篠宮さんがログインしてきた。

彼女は今、美術教室で
アートセラピーの
助手として働き始めている。

現実の世界でも、
少しずつ自分の翼を広げ始めた
彼女の姿に、
私は心から誇りを感じていた。

「今日は新しい生徒さんが来るんです」

そう告げる彼女の声には、
かつての不安はもうない。

右耳の耳鳴りは、相変わらず
波のように押し寄せてくる…

でも今は、それすらも私の一部。

この揺れる世界の中で、私たちは
確かに前を向いて生きている。

アトリエの窓から見える
バーチャルな空には、
プログラムされた朝日が昇っていく

その光は、現実の朝の光と重なって
不思議な虹色を描いていた。

「さあ、今日も蝶たちと一緒に
新しい物語をつむぎましょう」

私のつぶやきに応えるように、
無数の光の粒子が舞い上がる。

それは私たちの希望であり、
これからも続いていく癒しの航路。

メニエールの波は、
きっとこれからも私の中で
揺れ続けるだろう…。

でも、それは終わりではなく、
新しい始まりなのだと今は知っている。

この揺らめく世界の中で、
私たちは互いの光を見つけ、
そっと寄り添いながら、
それぞれの空へと飛び立っていく。

それは、デジタルとリアルが
溶け合う場所で生まれた、
私たちだけの蝶の物語_。

「では、新しい生徒さんを
お迎えしましょうか」

私は静かに微笑んで、
アトリエのドアを開けた。

外からは、やわらかな
光が差し込んでくる。

その中で、また新たな蝶が
羽ばたき始めようとしていた。

(終)

―――

ここまで読んで頂き
ありがとうございました!

この小説は、AIを使い
それを加筆訂正したものです。

ぼく自身、2年ほど前から
この主人公と同じ病
「メニエール病」にかかり
現在も治療中です🍀

メニエール病は、10数年前までは
難病指定されていましたが
医学の進歩により、今では
難病指定ではありません。

治療の道のりは、平坦では
ない事を、ぼく自身
身をもって体験しております。

しかし、ゆっくりでも着実に
前身しております。

この病に、限らず様々な困難に
立ち向かっている
全ての方の希望になればと思い
この小説を書きました!✨
﹍﹍

いいね❤や、コメント
お気軽にして下さいね😊

改めてまして、読んで頂き
ありがとうございました!

tk (ティーケー)でした🍀

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