奥主榮の詩の朗読会「short stories-短編集-」動画を公開しました
大村です。
2024年3月31日に東京・阿佐ヶ谷の「よるのひるね(夜の午睡)」で行われた、奥主榮さんの詩の朗読会「short stories-短編集-」の動画を、三部構成のうち第二部まで完成・公開しましたのでご案内します。
奥主榮さんの作品は詩集「みらいのおとなへ」の評文にあるように、自らも直面した過酷な現実や、他者を貶めて君臨する愚かな人々を容赦なく描くとともに、その渦中でもがくよわくちいさなものに寄り添う事に徹しています。いわば「弱者のための文学」を体現した作風だと言えますが、決してスローガン的な方向に流されません。それゆえ作品として展開される詩や物語は、重苦しい結末になる事も多いですが、悲しいだけではなく何か救いや希望となるものを読後に示してくれる、そんな詩を書く詩人です。
この朗読会では奥主さんは過剰な演出はせず、とつとつと作品を音読する形です。1カメラの定点で撮り放しという、決して見易い動画ではありませんが(誰か切り抜き編集してくれたら有難い)全テキストを解説に開示していますので、「聞いた後で」ぜひ読んでみて下さい。
序詩と第一部「対自核」
https://youtu.be/A8tELSDwroY
第二部「タルカス」
https://youtu.be/ORCj43i3HuM
〔著書・活動など〕
1996年、詩の朗読の舞台集団T-theaterを開始。
1999年頃から「詩と思想」に詩作品が掲載されるようになる。
2009年 第一詩集「日本はいま戦争をしている」(土曜美術社出版販売「現代詩の新鋭11」)
2013年 第二詩集「海へ、と。」(土曜美術社出版販売「叢書社会 現実・変革3」)
2015年 エッセイ集「在り続けるものへ向けて」(コールサック社)
2017年 第三詩集「白くてやわらかいもの.をつくる工場」(モノクローム・プロジェクト、らんか社)
2019年 第四詩集「みらいのおとなへ」(モノクローム・プロジェクト、らんか社「ブックレット詩集1」)本名の関明夫名義で発行
T-Theaterは2000年前後の朗読会としては、異色の存在だったと思います。参加者の持ち寄る作品を奥主さんがオムニバス形式に編成し脚本を作り、音楽も舞台装飾も協力者を募ってオリジナルで作り上げる。市井の無名詩人(主にニフティ・サーブの「詩のフォーラム」から集まった詩人達でした)が中心となって作り上げ、自ら演技を練習して舞台に作る。それらを手弁当でやった訳です。定員の限られた小舞台でくり返し上演する事が多かったのですが、ピークでは3回公演で合計120名ほども観客が来た時がありました。
出演・参加者にかかる負荷が非常に大きく、持続させるのは困難な舞台でしたが、そこで学んだ経験や理念は、私をはじめ参加者の中に今も残っています。今回、奥主さんが新たな形で再開を決意されましたが、皆さんのご協力を頂けたなら幸いです。
2024年6月9日 大村浩一 記