「オープンポエトリーの会」第6回報告 その2
12月6日(金)三島市で開催した「オープンポエトリーの会」の報告の続きです。
室 十四彦さんは『引き潮』。座礁した船のために満ち潮を待つ、といったストーリーの詩ですが「人生を感じさせる詩。自分のなかに引き付けていって意味化する、誠実な詩だ」という評がありました。
「海は/実は 見かけに過ぎない/きみの過去を沈めたすぐ上で/海面はいつも/もろく揺れている」の、名詞に続く「は」は、主観的に言い切る「覚悟」を表す場合に使う、と室さんは語っていました。この詩は「引く時期は引き/満ち来る未来を待とう/舟はその時に出す。」と、未来への希望を示して終わります。ロマンと清々しさをもった詩だと私は思いました。
小清水房也さんは今月12月に新詩集「輪状思索Ⅱ」を出したばかり。作品は『燎原(りょうげん)の火』。埼玉にある曼殊沙華畑(ここ多分ワタシが奥主さん達と何度か行った場所だ)を詠った詩。映像から日記のように書いた、と小清水さんは言われましたが、それにしては斬新で精悍な印象。赤い曼殊沙華の中を歩く人を「必死にさ迷い歩く敗残兵のようだ」と切る一方で最後は「赤く咲き競う永劫の時間/赤い現実の中で/私は黒い揚羽に変身する」と主観的に入り込む。日記が詩に転位するには感動が必要で、この詩はその感動に立ち会えたから出来たのだと思います。
<続く>
またも遅くなってしまった、続きは明日以降に。ごめんなさい。