日詩20241105『工藤冬里』
工藤冬里は詩を書く
工藤冬里は音楽で詩を書く
Apple noteで音源を探す時
悪戯がはじまる直前の様な
不思議な不安な表情をしている
気づかぬうちに音が始まる
客席にも下向きでマイクを置く
意図的にハウリングを起こす為に
奏者も時々そこに来て奏でる
ハウリングが暴走すると
マイクを押し倒して収めようとするが
時々収まらずに突き抜ける
あらぬほうへ谺(こだま)する音だ
あらぬほうへ突き抜ける音
時々アップライトピアノの鍵盤も弾く
指だけでなくて尻でも押す
押しながらエレキギターも弾く
メロディがノイズで途切れる
周期的だと思うと周期的でない
生き物の鼓動のように
カオスで不規則な周期だ
似たようでいて
二度と繰り返さない波動だ
生きているということだ
ノイズがあっても聞きやすい
絶望も歌うが
絶望だけで出来ていない
アスファルトを突き破って
萌え出てくる木の芽のように ※
物理でなく生命で突き抜けてくる
誰もが死んで終わる事を思えば
私たちも言わば死刑囚だが
その死亡宣告を生で
こちらへと突き抜けてきて
最後に笑う
2024/11/05 大村浩一
※工藤冬里の歌詞から部分引用(正確ではない)