静岡県詩人会会報153号がWeb閲覧できます

 静岡県詩人会会報の最新153号が静岡eBooksに掲載されました。
下記URLから、どなたでも読む事ができます。

https://www.shizuoka-ebooks.jp/?post_type=bookinfo&p=13282

 巻頭特集はひき続き、静岡の先達詩人。第2回の今回は小川アンナさん。
 代表作の「にょしんらいはい」を全文掲載。戦後の女性詩の、突出した到達点を示す傑作だと思います。私も数年前に初めて読んだ時に驚かされた強烈なラジカルさの背景には、終戦直後の苦しい生活の中で続けて3人の幼児を亡くし、さらに実母を亡くすというアンナさんの強烈な体験がありました。それに真直に向き合った結果として、当然の様に現れたものだと、今の私は思っています。
 そののちの詩集『富士川右岸河川敷地図』の表題作には、アンナさんのもう一つの面である反公害闘争が浮かび上がります。地元で東電の火力発電所計画がもちあがった際、それ以前からアンナさんが作っていた読書会が対抗組織に発展して、建設を阻止したのです。
 前号で取り上げた高橋喜久晴さんと言い小川アンナさんと言い、作品自体でも文化活動の面でも超全国レベルの詩人(高橋さんに至っては海外詩人との交流もありましたから)でした。そうした詩の風土が静岡県にあったという事を、皆さんに知って頂けたらと思います。

 会員作品は小山修一さん、酔芙蓉(鈴木和子)さん、たいいりょうさん、井村たづ子さんの詩を一作ずつ収録。さらに室 十四彦さんによる「文学散歩」のレポートと、1月26日(日)開催予定の詩祭「ポエム・イン・静岡」の、さとう三千魚さんによる予告を掲載しました。
今回の講師は廿楽順治さん。演題は「老いて、詩を生きるということ」とありますが、老いの先にあるものを思えば、中高年だけでなく多くの人に、多くの詩を触発する内容になると期待されます。皆さんぜひご注目ください。

 なお会場は手狭ですが、県詩人会以外の方のご聴講者、および自作詩朗読のご参加者を若干名ながら募集しています。参加ご希望、あるいはご関心のある方は大村かさとう三千魚さんまでご一報下さい。…ではでは。
 

2025年1月10日深夜 記 大村浩一

いいなと思ったら応援しよう!