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日詩20241106『貨幣について』

11月4日 工藤冬里さんのライブの直前に
望月治孝(もちづきはるたか)さんの
朗読とサックス演奏があった
さとう三千魚さんの詩集『貨幣について』を
拾い読みしながら
サックスを吹いた
商品名と金額を読みながら
溜息や不満のような
短い音を出した
鳥は貨幣をもたない と ※
読み始めると不意に
貨幣に首まで浸かったわたしが
見えてきた
鳥の誰もが認めなかった貨幣が
自分と自分の家族や住まいや
住まいの建っている土にも
いつの間にか浸透していた
自分が
ひん曲がってしか飛べない
鳥に思えた

※原詩『貨幣について』17章では、さとう三千魚さんは磯ヒヨドリやカモメを描いた後で「彼らは貨幣をもたない」と書いている。

2024/11/06 大村浩一

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