日詩20241024『鈴』
今日書くべき詩的な出来ごとはあまりない
駐車場へ行ったら
車内に置いた缶スープの空き缶に
どこから入り込んだのか
蟻が沢山たかっていたのも
ダリの絵みたいで詩的と言えば詩的
だったけれど
一つだけ書くとしたら
昨日の粟津則雄の話から
本棚からアントナン・アルトー著 粟津則雄 訳の
「ヴァン・ゴッホ」(ちくま学芸文庫)を引っ張り出した
諏訪哲史の小説「アサッテの人」で
引用されていた事から買ってみたのだった
開いてみるとすっかり忘れていたが
自分であちこちに赤ボールペンで傍線を入れている
今回一番引っかかったのは『神経の秤』の一節だが
まだ読みこなせてないので後日にする
きょう書きたいのは
『社会が自殺させた者』の一節
「永久に超人間的な鈴をふり動かすことはできなかった」
(この鈴はおそらく、人間に対して圧倒的に迫る「現実」の意味)
この鈴は平出隆さんの詩集『胡桃の戦意のために』の中の一節
「この完璧の鈴を振れ。わたしたちの裸火厳禁の地下道に…」※
の鈴ではないかと思った
「アサッテの人」は
現代詩人にとって非常に響く小説だったようで
以降幾人もの詩人が時折「アサッテ」と詩に入れていたし
最後の主人公の立ち回りの説明図からは私は
岩成達也の詩集
「中型製氷器についての連続するメモ」の中の図を
連想したりしていた
アルトーの「ヴァン・ゴッホ」は
詩人ならば秘かに
読んでおかなければならない本なのかもしれない
後年狂気に沈んだ人の著書だから
心がある程度健康でないと
危険な図書だと思うが
この機会に『神経の秤』とは何かを
読解してみたい
明日は10月25日
昨年 母が最初に倒れた日だ
2024/10/24 大村浩一
※ 平出隆さんの詩の一節は現時点ではウロ覚えです。
後日確認修正します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?